新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

アベノミクスとリフレ政策

MMT(現代貨幣理論)とリフレーション政策の違いは何か?

ここのブログですが、最近読まれている記事のほとんどがMMT(現代貨幣理論)に関するものばかりです。彼らには失礼ながらも、MMTはオーストラリアやアメリカでポストケインジアンと呼ばれる一部の経済研究者たちの間でカルト的支持を集めていたものでした。…

リフレ派は単純な貨幣数量説だけにとらわれない

前回に続き中野剛志氏のマクロ経済認識に対する批判を行います。 「中野剛志氏の内生的貨幣供給についての解釈 」 前回のおさらいをしますと、彼はマネタリーベースとマネーサプライの関係や外生的・内生的貨幣供給説・流動性の罠についての認識を誤っている…

中野剛志氏の内生的貨幣供給についての解釈

「財政政策のあり方 」編で自民党の安藤裕議員らが集まって行った「日本の未来を考える勉強会」の講師として参加した中野剛志氏が説明したMMT(現代貨幣理論)や彼らの貨幣・負債に対する認識について批判しました。 「中野剛志氏の貨幣と負債の認識について…

リフレは継続なり ~「アベノミクスとリフレーション政策」編最終回~

「アベノミクスとリフレ政策 」編の最終回です。基本的にこのシリーズはリフレーション政策の基本的な理論や考え方を解説してきました。ゲーム理論を活用したインフレ目標のコミットメント効果やマネタリーベース拡大による量的緩和、中央銀行による長期債券…

金融緩和の出口戦略(テーパリング)は急ぐべからず

「リフレ政策で国債暴落やハイパーインフレなどと煽ったオオカミ学者たち 」において、「量的金融緩和政策を進めると出口戦略で日銀が買い取った国債を市中へ再放出すると国債が暴落する」などと騒ぎ立てた債券マフィアというべき金融機関出身のエコミストた…

恒常所得向上が消費活発化の肝 ~アベノミクスが残している宿題 その2~

前回の記事「なぜ物価がなかなか上がらないのか? ~アベノミクスが残している宿題 その1~ 」からの続きです。 「アベノミクスは始まってから5年も経とうとしているのに物価がなかなか上がらないじゃないか」という批判の声はいくつも聞きます。極論をいえ…

なぜ物価がなかなか上がらないのか? ~アベノミクスが残している宿題 その1~

ここまでアベノミクスの理論的支柱のひとつであるリフレーション政策についてずっと解説し続けてきました。私はリフレーション政策を支持し、その効力はしっかり出ていると評価しています。その証拠は企業の投資がちゃんと伸びていることです。 雇用は人への…

デフレ脱却を阻む増税と官僚主導政治との闘い

1990年代から20年近くも日本の経済や人々の暮らしを侵食し続けたデフレ経済からの脱却を目指し、第2次安倍政権はリフレーション政策の理論を採りいれたアベノミクスを打ち出しました。それから5年もの間異次元緩和といわれる量的質的緩和政策を続けてきてい…

景気と各部門における投資と貯蓄のバランス

ここ最近ですがネット上でよく見かけるのが、家計・企業・政府・海外の4部門の投資と貯蓄の高さを見ろよという話です。いわゆるISバランスで、各部門の投資(Investment)Iと貯蓄(Saving)の高さを比較します。 家計・企業・政府・海外の4部門の貯蓄超過を合…

リフレーション政策と雇用回復 ~投資が増加したかが重要~

今回はリフレーション政策がどのような形で雇用に貢献したのかという話をしますが、この件についてもここ最近「団塊世代が定年退職時期を迎えたから雇用が回復したに過ぎない」だとか「少子化で就労可能人口が減ったからだ」といったかたちでリフレーション…

リフレーション政策は物価を上げることが目的ではありません。

この記事を書いている2018年1月現在ですが、天候不順の影響などで白菜やキャベツなどといった農産物が不作で価格がかなり高くなっています。キャベツ1玉300円台になっていたりします。 これについて非常にバカげたネットコラム記事がありました。今の野菜の…

マネタリーベースとマネーサプライの関係

量的緩和政策で日銀内に設けてある民間市中銀行用の当座預金に振り込まれる準備預金(マネタリーベース)をこれまでにはないほどたくさん積み上げ、これによって日銀が一定期間以上の低金利を維持する姿勢が確実であることを示し、民間企業や個人への融資を…

リフレーション政策と国家財政状況改善効果

前回は「異次元緩和で国債暴落」とか「ハイパーインフレが起きる」などという発言は妄想レベルであると話しました。異次元緩和から5年ですが、そんな破滅的な事態は起こっていません。 詳しくは後日「ハイパーインフレについて 」編や「税と国家財政問題 」…

リフレ政策で国債暴落やハイパーインフレなどと煽ったオオカミ学者たち

今回からリフレーション政策実施のときから次々と出てきたデタラメな危険・有害・無効論の数々について取り上げていきます。リフレーション政策は第2次安倍政権の経済再生政策アベノミクスのなかに採り入れられました。しかしながら安倍晋三総理に対する好き…

マイナス金利とリフレ政策を補強したイールドカーブコントロール

ちょっと今回の話はリフレ政策の説明の中でやや地味に思われるかも知れませんが、マイナス金利とイールドカーブコントロールについてです。イールドカーブ(Yield curve)とは利回り曲線で短期から長期までに至る複数の債券の金利高の変化を描いた曲線です。…

リフレーション政策で相互補完する金融緩和と財政出動

リフレーション政策の考えを採り入れた第2次安倍政権の経済政策アベノミクスですが、第1の矢として異次元の金融緩和、第2の矢として公共事業を中心とした財政出動、第3の矢として規制緩和や産業構造改革を打ち出しました。今回は第1の矢と第2の矢である金融…

量的緩和政策による財政ファイナンスと大型財政出動

前回の「異次元の量的・質的金融緩和政策 」で2013年からはじまった黒田東彦日銀総裁による量的・質的金融緩和政策は企業や金融機関に対して「2%の物価上昇が達成できるまでの数年間は金利をあげたりしない」という予想を強化するための証として行ったもの…

異次元の量的・質的金融緩和政策

前回「インフレターゲットのほんとうの意味と目的 ~リフレはコミットメント~ 」では中央銀行が「物価が上昇しデフレを脱却するまで金利を上げない」と誓約(コミットメント)することによって、企業は「当面金利が上がらない」と予想を変え「ならば積極投…

インフレターゲットのほんとうの意味と目的 ~リフレはコミットメント~

今回はリフレーション政策において重要なインフレターゲットの意味について述べていきます。 その前に再度強調しておくことはリフレーション政策の目的はただ物価を上げることではありません。民間企業の投資を活発にさせることで雇用を拡大することが最大目…

ゲーム理論とコミットメント(誓約)の意味

リフレーション政策を実行する上で重要な手法となっているものはコミットメント(誓約)です。 アベノミクス始動のとき日銀の黒田東彦総裁が「2年を目途に2%の物価上昇率の実現を目指す」と国会の場で誓約しました。あとアメリカのFRBですが議長は雇用拡大…

信用創造と融資・投資の活発化を計るリフレーション政策

本格的にリフレーション政策の話をする前に、貨幣がどのような形で生まれ市中へ供給されていくのか、おさらいしておく必要があります。そうしないとリフレーション政策の手段のひとつである金融緩和政策の意味や国債の日銀買受などの意味が理解できなくなり…

なぜリフレーション政策が求められたのか? その2 流動性の罠脱出の切り札

前回記事「なぜリフレーション政策が求められたのか?その1 足りない有効需要を埋めるために 」では ・不況になると総需要(有効需要)=家計消費C+企業投資I+政府支出G+純輸出EX(外国)のうち、企業投資Iが落ち込むことや ・リフレーション政策は企業の…

なぜリフレーション政策が求められたのか?その1 足りない有効需要を埋めるために

「アベノミクスとリフレ政策 」の第2回目はリフレーション政策を導入しないといけなくなった背景について、5年以上前に戻り振り返ってみたいと思います。 表題の結論をズバリ一言で言えば「萎縮していた企業の投資(←雇用も入る)を再活発化させ、(所得)分配…

もう一度学びなおしたいリフレーション政策について

皆様新年あけましておめでとうございます。今年初の記事は新編「アベノミクスとリフレ政策 」の第一回目です。 昨年8月末から年末までの4か月間・40話に渡って長作の「 デフレと失われた20年 」を書き綴ってきましたが、「「アベノミクスとリフレ政策 」はそ…