貧困・雇用・格差問題
「貧困・雇用・格差問題 」編の締めくくりと同時に、この数ヵ月で顕著になってきた景気減速の動きへの対策について話していきます。 日本は過去四半世紀近くも経済活動を低迷させ続け、その間の経済成長率が世界最下位というとんでもない記録をつくってしま…
「貧困・雇用・格差問題」編はもうぼちぼち終わりにしたいと思っていますが、今回は防貧政策として有効だといわれる教育政策について取り上げます。これはよくいわれることですが、親の貧困が子どもに引き継がれてしまうという「貧困の連鎖」問題があります…
今年2019年10月に消費税率を10%に引き上げる予定となっており、方々から非難の声が上がっています。 こちらもかねてより、まだ景気回復の動きが盤石とはいえない時点での消費税率引き上げにずっと反対し続けてきました。ここ最近中国・アメリカ・EU圏におい…
ずっと日本の左派政党の批判や彼らが陥りがちな解雇規制緩和や金融政策、実質賃金、企業の内部留保や労働分配率に関する勘違いについて書いてきましたが、ここで再び経済格差とその是正策についての話に戻します。今回のお題はそのために設定されている所得…
「貧困・雇用・格差問題 」編だと言いつつ、左派政党やその支持者には受け入れられにくい話ばかり続けてきました。今回の話は1980年代で行き詰った左派政党のイデオロギーや労働組合などの活動と現代の貧困や雇用問題に対処できなくなってしまっていることに…
低所得者層から中所得者層の生活水準向上のための経済政策のあり方を問う目的で書き進めている「貧困・雇用・格差問題 」編ですが、この問題が議論されるときに起きやすい解雇規制や最低賃金、実質賃金などに関する様々な誤解について指摘し続けております。…
比較的左派系の人たちが興味や関心を持つであろう「貧困・雇用・格差問題 」編ですが、前回の「逆にロスジェネ層や女性就労者・ひとり親世帯を苦しめる昭和型雇用制度 」ではどちらかといえば新自由主義者(ネオリベ)的な味付けの記事となりました。2~3回…
「失われた20年」といわれる1990年代以降の日本経済停滞によって、生まれた貧困や経済格差問題のことを取りあげ続けています。 「1990年代の雇用不安定化とロスジェネ世代の発生がもたらした深い傷 」という記事で20年間にも及ぶ雇用の不安定化によって正規…
今回の話はバブル崩壊後に様々なかたちで露わになった日本の縦割り型社会保障制度の綻びや限界について述べていきます。前回の最後でも1990年代を境に社会保険料収入の伸び悩みで社会保障財源の収支が悪化しはじめたことを話しております。1997年より本格的…
日本の貧困や経済格差問題を考える上で避けて通れない「失われた20年」と呼ばれる1990年代以降の慢性的経済不況問題の話をしています。今回から雇用の不安定化がもたらした世代間・生年間格差問題に入ります。1990年代以降の雇用不安定化は三重野総裁時代以…
今回も悪夢の1990年代についての話です。 バブル景気が崩壊したとき自分はまだ地方の大学生でした。自分が受講していたある講義を行っていた講師の方と懇意になり、毎週の講義が終わるごとに近くの喫茶店で夕食を共にさせていただきました。そのときにこの先…
日本の貧困・格差問題についての考察ですが、まず1980年代まで続いた終身雇用制度や完全雇用状態の行き詰まりについて取り上げます。 日本経済は戦後の高度成長期から1980年代のバブル景気まで、右肩上がりの成長を続けました。この時代は職業のより好みをせ…
「貧困・雇用・格差問題 」編はここから日本における問題を考察していきます。 トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」について、ここで取り上げてきましたが、日本の場合は他の世界各国に比べてピケティ教授が指摘してきたような極端な所得や資産格差が少な…
トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」についての話は第6回目です。今回は最後に岩井克人教授が書かれた論評について紹介しておきます。岩井教授はピケティ教授の仕事に敬意を持ち、積極的に引き合いに出しつつも、例のr>g(資本収益率>経済成長率)の不等…
トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」についての検証・第5回目です。 ピケティ教授は世界全体において極端な富の偏在と集中が発生しており、僅か1%の富裕層が地球上の約半分の富を独占・寡占してしまっている問題について指摘をしました。教授は過去200年…
トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」を叩き台にして、いま世界規模で起きている富の一極集中問題について話を進めていますが、その4回目です。今回はピケティ教授が提案した資本主義経済における経済格差の是正策である累進所得課税と資産課税の妥当性や実…
今回もまたトマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」で取り上げられていた経済格差問題の話です。 参考 「ピケティ教授が立証しようとした資本主義経済における経済格差 」 前回は日産の会長を務めていたカルロス・ゴーンが会社の利益を私物化してしまっていた…
前回の記事「ピケティ教授が立証しようとした資本主義経済における経済格差 」の続きで、教授が問題視していた富の偏在や寡占がなぜ起きるのかということについて、こちらで考察していきます。 ピケティ教授は「21世紀の資本」においてモノやサービスを生産…
「マルクスの労働価値説と剰余価値説は正しいのか 」でマルクスやエンゲルスは資本主義経済下において労働者はその労働力を資本家に搾取され、経済的不平等が発生する構造を「資本論」で書き明かそうとしたという話をしました。彼らは(労働)時間という観点…
前回の「労働者の貧困を救えなかった社会主義国家 」は旧ソ連や中国共産党などといった社会主義国家の多くは中央集権的な独裁国家となり、彼らが敵視する資本家や地主だけではなく、多くの民衆の命まで大量殺戮や貧困による餓死で奪っていった歴史について語…
「貧困・雇用・格差問題 」の前回はカール・マルクスとエンゲルスによって著された「資本論」の内容について触れました。商品の交換価値(市場価値)はその商品を生産するために投じられた労働量によって決まる労働価値説や剰余価値説について簡単に説明する…
いま「貧困・雇用・格差問題 」編の記事を書き続けていますが、この経済・社会問題を語る上で外すことができない人物といえばドイツの哲学・思想家であったカール・マルクスと盟友のフリードリヒ・エンゲルスでしょう。 カール・マルクスとフリードリヒ・エ…
今回も産業革命期と初期の資本主義経済についての話です。ここまでは資本家階級の暴走によって起きた貧困や格差、公害や疫病・犯罪の多発による都市の荒廃について述べてきましたが、今回は不況や失業の発生についての話です。 深刻な不況や貧困の発生は当然…
今回は前回記事「産業革命の陰で進んだ労働者の貧困 」の続いて、産業革命期のイングランドで起きた労働者階級のひどい貧困や治安悪化、ひどい公害と公衆衛生悪化による疫病の発生といった問題について述べました。 産業革命を推し進めた旗手である資本家・…
前回の記事「プロテスタンティズムと絶対王政下で生まれた懲罰的なイングランドの貧民法(救貧法) 」に続いて、今回も資本主義経済黎明期にイングランドで発生した貧困問題の話です。時代は18世紀半ばから19世紀半ばにかけて起こった産業革命まで下ります。…
前回記事「資本主義経済黎明期における工業化と都市化が生んだ新たな貧困や格差の発生~ 」の続きになります。前回封建社会から資本主義社会へ移行するときのイングランドで地主(ジェントリー)や独立自営農民(ヨーマン)らが、当時高収益で稼げる毛織物の…
2つ前の記事で経済要因の不況や貧困・格差問題の発生は構造要因型と景気循環要因型の2つがあると話をしました。ここから構造要因型の貧困・格差問題について考えていきましょう。時代は封建時代の中世から資本主義経済が生まれた近代へと移行する過程で現…
よく「貧困と格差問題」という言葉が使われますが、今回は後者の「格差」について考えてみたいと思います。 「格差」と言っても結構ふわとした意味になっております。経済問題を扱うここでは基本的に資産や所得の格差、生産されたモノやサービス、その交換媒…
「貧困・雇用・格差問題」編第1回目「貧困・格差はなぜ生まれる? ~経済学の最も重要な使命・貧困の解決~ 」で貧困発生の要因をおよそ5つに分類してみました。 その中で経済的要因の貧困は4の経済構造要因型貧困と5の景気循環要因型貧困が当てはまると…
「貧困・雇用・格差問題 」編の第2回目は貧困問題の捉え方についてです。 日本で月10万円以下で生活している貧困者の数は2005年のときまで2000万人近くもいました。生活保護の利用世帯は214万人です。そうした状態に至った経緯は様々でひと括りにできませ…