もう9月になりましたが、来月には消費税が10%に増税されます。今回の増税で消費はもちろんのこと、企業投資や雇用にどこまでの影響を与えるか計り知れませんが、ひどく落ち込む可能性が高いでしょう。増税前の駆け込み需要すら発生していないと報じられてもいます。
そういう中で飲食店業界等で消費税増税による顧客ばなれを警戒して、商品の価格を下げる動きが出てきました。
自分としては「やはり出たか」といったところです。
消費者にとって最大の消費税節税対策は価格が安い商品を選ぶことです。とくに家計が苦しい人にとってはそうせざる得ないでしょう。
商品の売り手が低価格化を打ち出してくるということは、消費者の購買力や意欲がかなり低いと見ているからです。まさにデフレ型商法の復活です。私はこういうのを”税抜きデフレ現象”と名付けました。税抜き後の価格が低下するからです。
ここ最近は人手不足による人件費や材料費等の価格上昇によって、商品の値上げに踏み切る事例が目立ちはじめていました。とくに人手不足が著しい運送会社の運賃だけではなく、食料品等の価格上昇も起き始めていたところです。
しかしながらこれ以上の商品値上げは顧客ばなれを加速させかねないという判断をする業者が出てきたということは、今後の雇用拡大や賃金上昇、そして投資の拡大にも影響が出かねません。
「アベノミクスとリフレ政策 」カテゴリーで「異次元の量的・質的金融緩和政策 」という記事を書きました。ここでリフレーション政策は中央銀行が企業の経営者らに「今後中央銀行は物価を∼%まで上げる」という予想を与え、名目金利から物価を差し引いた実質金利を下げるという説明をしています。
フィッシャー方程式です。
実質金利を下げさせることで企業が積極的に事業拡大のためにお金を遣うように仕向けさせ、それによって雇用を増やすことがリフレーション政策も肝でした。
実質金利がどうたらこうたら書いても、わけがわからないし、胡散臭いと思う人がいるかも知れませんが、もっと単純にいえば今後人々の購買力や購買意欲が高まって、商品の価格を上昇させても売れる状況になれば利幅が厚くなって儲けが増えるだろうという予想です。借りた資金の金利以上の利益率が期待できるならば多くの人を雇ったり、お店や機械にお金をかけて投資を行っても勝算があります。
このロジックに沿うと、今回の消費税増税による客離れ防止の商品値下げは売り手の利益を薄くしていくことになります。原材料費等がそんなに削れないのであれば、こっそり商品の量を減らすシュリンクフレーションという手を打ったり、人件費削減に手をつけざる得ないかも知れません。日本人ではなく外国人労働者を遣うといった動きが顕著になってくる可能性もあります。
いずれにしても10月の消費税増税はアベノミクス潰しであり、慢性的デフレ不況再発につながる危険性が大きいです。
かなり歪な経済状況になる恐れがありますし、国家財政についても逆に税収が落ち込んで、財政悪化に滑車をかけるような事態になりかねません。
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