新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

サードインパクトへの備えはできているか?

 2012年末に第2次安倍自民政権が発足し、翌年2013年から日本経済を慢性的なデフレ不況から脱出させるために、大規模な量的質的金融緩和政策と積極財政政策、規制緩和等を盛り込んだアベノミクスといわれる経済政策をはじめました。その結果として民間企業の投資(設備増強・研究開発・雇用など)が伸び、雇用改善が数年以上におよび進みました。

 

2016~18年ぐらいにかけ、人手不足状態が目立つようになり、一見需要不足から供給不足状態に転じたかのように見えていました。いよいよデフレ不況脱出か?と思われていたのですが、2018年末頃から国内景気が頭打ち・後退へと転じかけていると言われ始めます。にも関わらず安倍政権は2019年10月に消費税率を10%に上げる増税を断行してしまいます。何度もここで申し上げてきましたが、消費の方は鈍いままで「消費なき景気回復」となっていました。

 

現状は相変わらず企業投資と雇用についてはやや陰りが見えかけているとはいえど堅調であるのですが、海外の経済状態不安定化や中東情勢緊迫化などの悪影響で外需に期待できなくなり、さらに個人消費低迷が足を引っ張るかたちで、企業等や雇用にも悪影響が及んで不況突入となる危険性が高まっているのではないでしょうか。

 

私がYahoo!ブログで経済ブログを開設したのは2017年の夏でしたが、この当時に東京オリンピックが開催される今年2020年前後にもしかしたら再び不況が再発するのではないかというようなことを言っていました。いまの安倍総理リフレーション政策に対する理解がしっかりしており、それを政策として実行するだけの政治的腕力があったのですが、残念ながら自民党から他野党を含め、金融政策に精通した国会議員がほとんどおらず、安倍政権が退陣した後にリフレーション政策が引き継がれる可能性はかなり低いのです。安倍政権が終わった後に今まで伸びていた企業投資や雇用が剥げ落ちて、再びデフレ不況のどん底に突き落とされることは容易に想像できます。もし仮にこのとき運悪く世界同時不況などといった外的ショックが重なった場合、リーマンショッククラスの恐慌が発生してもおかしくありません。

 

1990年代初頭のバブル景気崩壊を日本経済に与えた”ファーストインパクト”だとすると、2008年に起きたリーマンショックが”セカンドインパクト”に値するでしょう。もし上で述べたような恐慌が日本を再び襲ったときはサードインパクトとなります。

いまも安倍政権や日銀が全力で金融緩和政策と積極財政を進め、国内需要をしっかり盛り上げていれば、他国で大きな経済混乱が起きたとしても悪影響を最小に抑えることができます。しかし現在の安倍政権と黒田東彦日銀総裁は2013年当初に比べると、デフレ不況脱却への本気度がかなり薄まっているように見えてなりません。安倍総理麻生太郎財務大臣の顔を立てるために消費税10%増税を黙認したとも言われています。日銀黒田総裁も景況感悪化の気配が出ているにも関わらず、追加緩和を行うような姿勢を見せません。このまま行くと安倍総理自身がアベノミクスを葬ってしまうことになりかねません。 サードインパクトが襲ってきたときの防備が極めて弱いといえましょう。

 

経済問題に対する危機意識の綻びが感じられるのは安倍政権や黒田日銀だけのことではありません。ネット上で政治や経済のことを取り上げているアカウント全てに言えることです。経済問題について真剣に考えているのであれば、サードインパクトが襲ってきたときのダメージコントロールをいかにすべきかを議論しないといけないのではないでしょうか。

 

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