新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

賃上げ主導による経済成長とインフレ目標達成への道

ご無沙汰しておりました。今日から5月に入り、メーデーということで賃上げの話をしていきましょう。

第94回メーデー中央大会 ー令和5年4月29日 - Bing video

 

先月末になりますが、4月29日に岸田総理がメーデー中央大会に出席しました。現職総理がメーデーに参加するのは2014年に当時の安倍晋三総理が参加して以来9年ぶりとのことですが、この当時与党自民党保守系政治家が労働運動の場に現れたのは異例中の異例として受け止められました。

 

しかしながら安倍元総理や岸田現総理らが全国の労働者と共に、企業に対し賃上げを求める声をあげるのは、それが経済活動再活性化と持続的な成長経済の実現のために不可欠であったからです。安倍元総理が中央銀行の日銀と共に進めてきた異次元金融緩和政策をはじめとするリフレーション政策は企業の事業活動活発化と投資増大を始点に労働者への賃金分配を加速させ、それによって消費の拡大を促し、最終的に持続的かつ安定的な経済成長と物価上昇を目指すものでした。そういう意味で安倍元総理や岸田現総理がメーデーに参加することは不自然なことではありません。連合の芳野友子会長は立憲民主党共産党について労働者の厚生向上につながるような活動をやっていないと完全に見放しており、むしろ「実」のある成果を与えてきた自民党の方に近づいています。

昨年は円安(というより極端なドルの独歩高)が問題視されていましたが、その一方で輸出増加で製造業などの収益が大きく伸びております。一部の企業ですが、従業員にインフレ手当を支給するところまで現れました。(筆者が勤める会社でも特別支給がありました。)これは今回の春闘においても追い風となり、連合が4/13に公表した「2023春季生活闘争 第4回回答集計結果」によると2023年の平均賃上げ率は3.69%と30年ぶりの高さとなっています。

春闘賃上げ率は30年ぶりの高水準へ…今後の焦点は賃上げの持続性とサービス価格の上昇ペース - 記事詳細|Infoseekニュース

 

黒田東彦日銀総裁は先月4月17日にコロンビア大学で講演を行い、十分な賃上げなどが2024年度も続けば、「2%の物価安定目標が達成されるかもしれない」と話されたようです。

黒田前日銀総裁、物価目標達成に自信 コロンビア大講演 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

青太字で強調しておいたのですが、黒田氏の発言で重要なのは賃上げの動きは今年一回だけではなく、来年、再来年・・・・と持続的なものになるかがどうかです。それは人を雇い賃金を支払う企業だけに「もっと人を雇ってください」「賃金を上げてください」と政府側がお願いするだけではなく、適正な中央銀行による金融政策と政府の財政政策ならびに規制改革等による援護射撃をしていかねば実現できないでしょう。企業側にとって一年先が闇で、すぐ景気が悪くなってしまうかも知れないとか政府や中央銀行の経済政策態度が曖昧で、いつ利上げや緊縮財政路線に転ずるかわからないような状況ならば固定費である賃金の引き上げはできるわけがないでしょう。

 

そういう意味で表向き安倍政権・黒田総裁時代からの金融緩和路線を継続しているかのように見せつつ、本心では長期金利抑え込みをやめたがっている岸田政権や新しく日銀総裁に就任した植田和男氏の優柔不断かつ曖昧な態度や姿勢は来年以降の賃上げの足を引っ張っりかねません。

不確実性を高めてしまった岸田政権の新日銀総裁・副総裁人事 ~コミットメントの棄損~ | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)

 

とはいえど首の皮一枚ながらも、リフレーション政策が完全に破棄されているわけではないので、岸田・植田氏は巧く逃げ切る可能性がないわけではないでしょうが、未だにかなり根深く日本社会に根付いてしまっているデフレ不況引力に負けないぐらいの金融緩和や積極財政によるロケットエンジンの噴射が必要でしょう。海外では景気や雇用が異常加熱しているといってもいいぐらいの状況になっていますが、日本はそうなっていません。アメリカや欧州は金利引き上げや緊縮財政によって景気過熱を抑えないといけませんが、日本はまだ金融緩和と積極財政を必要としています。最後のひと踏ん張りが必要です。

 

1980年代までの日本のように経済成長と毎年の昇給が当たり前の状況になっていくような状況にもっていきたいものです。

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