新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

恐慌を食い止めよ! その1

これまでアメリカで1920年代に湧き上がったバブル景気と1929年の世界大恐慌の発生要因について考察してきました。今回から恐慌が発生したときの経済・金融政策についてお話していきます。

高度経済成長期を過ぎた資本主義経済においてバブルの膨張と萎縮は宿命的なものになっています。日本においては既に2回もそれを経験しています。アメリカについてもサブプライム住宅ローンショックに懲りず、再びサブプライム自動車ローンバブルをいま膨らませています。

恐慌はあらゆる経済危機の中で最も深刻で多くの市民の暮らしを破壊するものです。このときほど経済学が重要な使命を与えられるときはないと言っても過言ではありません。

本題に入っていく前にいま一度資本主義経済と信用貨幣制度のしくみをおさらいしておく必要があります。
経済を生物の体に例えると貨幣は血液にあたります。そして市中銀行による信用創造と企業の投資(雇用含む)がその血液を生む造血幹細胞と体全体にそれを送り出していく心臓の役目を担っています。信用創造は何度か書いてきましたが、銀行が融資を行うことで新しいマネーを産むことです。
心臓から送り出された血液は血管を通って各組織や細胞へと巡り、酸素や栄養素を運んだり老廃物を受け取り排出する器官まで送り出します。経済活動においても貨幣は生産や労働を促すことやそれによって産みだされたモノやサービスを市中へ分配する役目を持っています。

恐慌とは体のなかの血液が一挙に失われ、さらに心臓の動きが停止あるいは極端に弱まってしまう状況です。生物の体でそんなことが起きたら死に直結することでしょう。そうした重篤な危機に陥ったときの蘇生処置をどう行うのかということを述べていきましょう。

恐慌が起きたときにやらなければならないことは銀行融資の寸断によって停止してしまった生産活動の蘇生と極端に不足するマネーの増加ならびに供給です。停まってしまった心臓の動きを蘇生するとともに失われた血液を補い、それを再循環させることであります。それを見事にやりこなした事例が日本の昭和大恐慌における高橋是清大蔵大臣の政策であり、アメリカのサブプライムローンショック後の経済危機を救ったベン・バーナンキFRB議長によるリフレ政策であります。

これまで起きた恐慌や深刻な需要ショックに対し、当時の経済学者や政治家がどう立ち向かっていったのか追ってみたいと思います。次回は恐慌や需要ショックが起きたときの被害やその発生メカニズムについてお話したいです。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

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