新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

無計画かつ論理性のない総花的な民主党政権のマニフェスト

2009年9月に国民生活をあまり顧みなかった経済政策などへの不満が爆発する形で1996年より続いた自民党政権が崩壊し、中道左派である民主党政権が発足しました。この当時の様子はまるで有権者がバットで自民党政治家の頭を殴りつけ殺すような勢いだったのを憶えています。
民主党が当時掲げたスローガンは「国民の生活が第一」「コンクリートから人へ」「命」といったもので、中・低所得者に対しやさしい政治を多くの人が求めていたのではないでしょうか。2007~2009年に起きた深刻な大不況で派遣労働者を中心に多くの就業者が一斉に解雇されてしまうような事態が発生しましたが、彼らに対する救済や所得(再)分配政策の拡大が望まれており、国民はそれを民主党政権に託したかったかと思われます。

しかし結果からいえば民主党政権はその期待に応えるどころか、自民党政権時代よりもひどい緊縮シバキ路線に走ってしまいました。鳩山由紀夫政権に代わる菅直人政権や野田佳彦政権時代にマニュフェストとは真逆の消費税10%引き上げを行おうとしました。また民主党政権末期には生活保護受給者に対する激しいバッシングが起きて受給認定の厳格化が進みます。金融政策面でも極めてタカ派で緩和になかなか踏み切ろうとしませんでした。そのおかげで円高がものすごく進み、経済活動は沈滞したままでした。

民主党政権発足前後に時間を戻しますが、この選挙中に様々な公約をマニュフェストとして掲げております。
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月額2万6000円の子ども手当支給を筆頭に天下り根絶やら、高速道路無償化、年金制度一元化、後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化、農業者戸別所得保障制度などの他に、上の表にはありませんが普天間基地国外移転や八ッ場ダム建設中止といったものもマニュフェストに含まれていました。
ここで麻生政権時代に行なった景気対策は総花的で中長期に渡る持続性のある政策ではないと評しましたが、民主党のマニュフェストもそれに近いものがあります。ひとつの経済理論に基づく基本論理が存在せず、七夕の短冊に書いた願い事みたいなマニュフェストです。

で、このマニュフェストに掲げたことがちゃんと実現できたかと言いますと・・・・・・
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ひどいものですね。ほぼ壊滅です。「サギフェスト」ですね。反官僚を旗印に掲げていたものの、自民党時代より官僚の跋扈がひどくなり、国家財政についても過去最大の赤字国債を発行しています。

この政党は実現性を考えず、軽い思い付きだけで有権者が喜んで飛びつきそうな政策案をいくつも書き込んでいただけのようです。どんな政策を行うにしても財源をはじめ、実際にその政策を実行したときに大きな支障がないか関係者に問い合わせ、確認するといったことをやっていなかったように思えます。いわゆる根回しがまったくできていなかったのです。
それと民主党をはじめ日本の左派政党に共通していえることですが経済学をひどく蔑視します。経済学を「金儲けのための卑しい学問」と思っているのでしょうか。国防(外交)と経済学は国家運営の大黒柱といえるものですが、民主党という党はそれが完全に欠落していたのです。国防(外交)のダメさぶりはアメリカ・オバマ大統領(当時)から普天間基地問題の決断ができないことでDisられた鳩山由紀夫尖閣諸島問題をこじらせた菅直人が物語っていますが、経済政策についてもお粗末極まりないものでした。

民主党議員は経済学と財政に関する理論や知識が極めて薄かったために、財務省をはじめとする官僚に言い含められてしまい、結果として彼らのペースに乗せられてしまったことが民主党政権の失敗につながったのです。
民主党をはじめとする左派政党は経済成長を否定する思考が強かったのですが、景気が悪化すると税収が伸び悩み国家財政が悪化します。税収が目減りすると緊縮財政になっていき、さらに国民生活の窮乏化や経済悪化をひどくしてしまうのです。これが過去最大の赤字国債発行を生みました。

民主党政権は発足直後からさまざまなトラブルを引き起こし、短期間のうちに鳩山→菅→野田へと政権が交代していく度に失望感が増大していきます。民主党政権末期にはネット右翼在特会といった右系活動団体のデモ活動が活発化し、「反日」とか「嫌日」、「嫌韓・嫌中」などといったヘイトスピーチがあちこちで飛び交う有様でした。野田佳彦総理が消費税10%引き上げを争点に衆議院を解散してしまうのですが、ここで民主党政権は自爆するかのように惨敗し、安倍自民党に政権を奪還されるに至りました。国民の怒りは麻生政権倒閣のとき以上に殺気だったものとなり、短刀(ドス)で何度もメッタ刺しし、倒れたところをさらにねじ踏みするかのような勢いで有権者民主党候補を落としております。私もいくつかのブログで「国賊民主党議員を落としてやる」なんて書き込みを見たことがあります。

次回は民主党政権の目玉公約のひとつだった子ども手当制度の杜撰さについて述べます。

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