新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

震災後も続く白川方明日銀総裁の極右的金融政策と疲弊する日本経済

このブログで既に白川方明日銀総裁の極度な金融引き締め政策について何度か批判してきました。

軽くおさらいすると白川氏が日銀総裁に就任したのはまだ自民・公明政権で福田康夫内閣時代のときで2008年でしたが、自民・公明側が武藤敏郎氏を総裁に指名しようとしていたところ、「財務省出身だから」という理由で民主党が反発したために氏は就任できませんでした。そのあと白川氏が総裁代行となり、そのまま総裁に昇格したのです。
ところがこの白川総裁は頑迷といっていいほど金融を引き締めまくり、物価を絶対に上げないといった態度をとり続けます。この後リーマンショックや多くの失業者を出してしまうほどの空前の大不況が訪れても、白川総裁は金融緩和に踏み切ることはありませんでした。日本以外のアメリカをはじめとする他国は深刻な不況に立ち向かうべく、かなり大規模な金融緩和を推し進めていました。他国が必死にマネーを刷りまくっている中で日本だけが円を刷り惜しみしていたが故に為替投機家たちは希少価値が高まった円を買い漁ります。そのために円の相場がさらに上昇し、ものすごく高値がついてしまいます。
この円高は輸出に依存する日本の自動車や電機産業などの製造業を徹底的に痛めつけます。製造ラインはどんどん稼働率が下がり、雇用を縮小していく以外にありません。アメリカで2万ドルの値をつけた商品の場合1ドル=120円程度でしたら、ひとつ売ると日本の企業は240万円の売り上げ金が入ってきますが、1ドル=80円近くになると160万円の売り上げに下がってしまいます。アメリカでの販売価格を変えずにこの減収分を補うとしたら、徹底したコストダウンを行うしかありません。そのしわ寄せは労働者や部品サプライヤーに及ぶことは容易に想像できることでしょう。企業側も新しい技術投資を行う余裕がなくなり、日本の工業製品の陳腐化が進行します。この間に韓国のヒュンダイサムスンは世界の自動車・電機製品市場を席捲し、中国もどんどん工業化を進めGDPで日本を追い抜くに至ります。

そして2011年3月にはそこへ追い打ちをかえるかのように東日本大震災が襲い掛かります。工場や製造設備などの倒壊だけではなく、東京電力福島第一原発(1F)事故によって電力供給が不安定化し、(無)計画停電等によって多くの工場が不安定な操業を強いられます。半導体など電子部品の工場は僅かな瞬間の停電だけで何日も操業停止となってしまいます。(半導体工場のお話 1)(半導体工場のお話 2
1Fの事故後、他の原発も稼働を順次停止していったために、代わりで火力発電所をフル稼働させないといけなくなったのですが、その足元を見てか原油やガスの産出国は日本に高値で燃料を売りつけたために電力コストが高騰しました。高くなった電気代が製造業の収益を大きく圧迫します。


そして円相場ですが震災後さらに円高が進みました。こうなってしまった要因は大規模な復興予算が組まれることによって国内金利高が予想され、国内外の実質金利が日本のほうが高くなってしまうからです。いわゆる「マンデル・フレミング」効果になります。
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白川日銀はやはり震災後も金融緩和をしなかったためにマネー不足と金利上昇が加速し、円高を助長させたのでした。さらに2011年は東日本大震災だけではなく、日本の自動車メーカーなどが多く進出しているタイで洪水が発生し、クルマが生産できなかったり出荷前のクルマが水浸しになるなど踏んだり蹴ったりです。

民主党政権と白川日銀は日本の産業をとことん衰弱させました。どこかのカルト教団ではないですが「耐えに耐えたこの日本~どこの企業もボロボロだ~」です。こうした金融無策に対しポール・クルーグルマン教授は

白川日銀総裁を銃殺刑にせよ!

とDisります。

デフレ経済が究極といってもいいほど進行し、雇用情勢は悪化したままです。新卒の高校生や大学生は就職活動がなかなかうまくいかず「就活うつ」などという言葉をあちこちで聞かされたぐらいでした。低賃金・長時間労働パワハラなどの劣悪な職場環境のブラック企業が跋扈したのもこの時代です。
こうした中で多くの人たちが無・低所得状態に追い込まれ、自民・公明政権時代より貧困問題が顕著になっていきます。そうした人たちにとって最後の救済手段であるのが生活保護制度なのですが、この命綱を断ち切ってしまうような騒動が民主党政権末期に発生しました。

次回は生活保護バッシングについて取り上げます。

~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

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