財政政策やケインズ主義に対する思い違いについて書き述べています。
政府がお金をどんどん遣って景気をよくするという図式は非常にわかりやすいものです。しかしながらそれが本当に国民の暮らしをよくしてきたのか冷静に検証してみてみないといけないと思います。
積極財政=国民所得向上
という図式になっているのでしょうか?
また赤線などで政権や政策の注記を加えています。世帯平均所得の推移についての詳細はガベージニュースさんの記事もご覧ください。
こちらでグラフを見て気が付いたことを書くと
・バブル崩壊の1990年代から全世帯および児童のいる世帯の平均所得が漸減している。
・その直後の小渕政権でかなり思い切った財政出動を行ったが、所得の落ち込みは回復していない。
・小泉改革時代も数年ほど児童のいる世帯の平均所得が僅かに伸びた程度で他は漸減傾向。
・第2次安倍政権発足以後は平均所得が僅かに改善傾向。
といったところです。
政府が積極財政であったから家計が潤ったなどという図式は成り立っていないようです。
あと金融政策について言いますと今の安倍政権だけではなく小泉政権時代にも量的緩和政策が行われていました。しかしながら小泉政権のときは国民所得の向上に貢献できなかったようです。緊縮財政色が強かったことが影響しているのでしょう。
家計・企業・政府・海外の貯蓄超過もしくは負債状況を示す資金循環表(フロー)も見てみましょう。
4部門のものです。
そして家計と政府部門です。
緑の家計部門の貯蓄超過の増減と政府部門の負債の増減はよく似た動きをしています。当たり前のことですが、不景気のときは家計と政府双方の貯蓄超過が減少もしくは負債が増えるかたちになります。政府部門の負債が増えるのは歳入が減っているのに歳出が増えるからです。あとグラフ横軸に積極財政を行っていた小渕政権と麻生政権時代を黄線を入れてあります。麻生政権時代の方は家計の貯蓄超過が増えていますが、小渕政権時代は減少しています。財政出動の内容やその他の要因で家計の貯蓄超過が上がるか下がるかが変わるようです。
一方企業部門と政府部門を比べると見事対称的です。企業が積極投資で負債を出すときは政府部門の負債が減って、逆に企業が投資を控えているときは貯蓄超過が増えて、政府部門の負債が増えます。
国家財政赤字増大=国民の資産が増えるなどということはないのです。
今回の記事で言いたかったことは
・財政出動なら何でも景気上昇につながるものではないし、家計を潤わせてくれるとは限らないということです。財政出動の中身が企業への補助金やら減税となっていて、家計の補填をするような給付金などを実施しなければ政府部門の負債=企業の資産増大になるだけです。ですので私はただ「財政出動やれ」とか「積極財政を」としか言わないのはまずいと思っています。
言うなら「国民の家計を増やすような財政出動をやれ」と言わないといけません。
積極財政派のみなさん、気をつけましょう!
~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。