新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

財政政策は現物(官給品)よりも現金直接給付中心にした方がいい

財政政策に関する諸問題を取り上げていますが、そのなかでも私が最もひどく気になっているのは日本の財政政策は現金直接給付型をあまり採り入れていないことです。お上から出来上がったモノやサービスといった公共財の現物支給が中心となっています。道路や防災設備といったインフラ整備も現物支給と見なせるでしょう。

生活保護問題が取り上げられたときに、一部政治家や評論家たちが「現金ではなく現物支給にしろ」と言い出すことがあります。私はこういう人たちを見ていると「官憲主義者だな」といつも思ってしまいます。生活保護受給者はもちろん国民のひとりであるのですが、現物支給は彼らからお金を自由に遣う権利を剥奪しているのです。
生活保護受給者は他人の税金で食わせてもらっているのだろ。わがままを言うなと思われるかも知れませんが、そうでない勤労者に対しても例外ではありません。現金ではなく官給品にろという考えが一部の政治家・官僚で見受けられます。

よく福祉にお金をと言いますが、国民にサービスを買うお金を支給する形態よりも、保育所やら介護施設といったハコにカネを出すといった形を役人は好みます。ここまで言うとピンとくるでしょう。そうした福祉法人が役人の天下り先となって施設の所長や理事長に収まってしまうという図式です。こういうのを「座布団」といいます。


再び生活保護の話をしますと現物支給主義とか施設収容主義なんかにしたらとんでもないことが起きそうな気がします。結果的に多くの行政担当職員を潰しまくったり、政官と業者・法人との癒着といった別の形の不正行為を増長させることになって行政コストが余計重くなってしまうのではないでしょうか。
保護費を現物支給だということは食料品をフードスタンプとか給食にしたり、日常生活用品を配給制にするといった形になります。好き嫌いはおろか食物アレルギーの対応といった細かい対処かできるのでしょうか?
衣服は古着を押し付けとなるかも知れません。どんどん成長する子どもの服のサイズとか大丈夫ですかね?
あと仮に生活保護受給者を施設に収容するとしましょう。スゴイことが起きると思いますよ。50名の施設だったとしてその中にひとりヤクザとかポン中がいたとしましょう。知的障がいか精神障がいを抱えた人がいたらヤクザ入所者のパシリにされるでしょうね。「腐ったミカンの方程式」というのがありますから、49人の収容者が大人しい人であっても、たった一人のヤクザ紛いの収容者がどっかの組事務所みたいにしてしまうなんてことが起きるでしょう。
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入所者同士の喧嘩・自殺・薬物蔓延・ときには強姦事件が発生して施設の職員がうつ病に罹って離職・・・・・。地獄絵図でしょう。ついでに生活保護収容施設を公営ではなくNPO法人にという流れですと、そのヤクザがNPO法人を立ち上げて収容者からどんどん保護費を搾取し貧困ビジネスにということになりかねません。(既になっている?) 

警察OBを生活保護不正受給Gメンにするとか、片山さつきが不正受給発見で1000億円予算が捻出できるからそれをケースワカーの増員に使えばいいという話をかつて出てきましたが、実はこれもおかしな話でムダな支出を止めるといっておきながら、別のムダで意味のない仕事を作っているようなものです。本気で国民の血税を護るという気持ちで生活保護の不正受給を防ぐつもりだったら人海戦術ではなく、歳入庁創設やマイナンバー、ITを活用して国民個人の所得・資産状況を正確に把握できるようにし、不正受給を瞬時に発見できるようなシステムを用意した方がいいでしょう。不正受給Gメンなどという話は警察OBの天下り先拡大ですし、ケースワーカー人員増強という考えも行政肥大化で小さな政府主義とは逆行します。というか福祉事務所のケースワーカーは公務員にとっても配属されたくない部署だとされており、増員よりも上記手法で受給資格の査定や所得・資産状況調査の合理化を行い業務負担を減らしてあげるべきだと思うのですが・・・・・・。

かなり話が反れましたが現物支給主義は結果として納税者視点で見たときの行政効率の悪化を招き、税の還元率を下げることになりかねません。なるべく軽い税負担でより高いレベルの行政サービスを提供するのが公僕の責務でしょう。国民に官給品を押し付けるような現物支給主義は国家社会主義的なものです。現金支給主義の方が自由主義的で合理的な選択です。

昨年のことですが民進党やこの党の政策助言に関わった財政学者の井出英策教授が妙なことを言っていました。現金給付をやめて、福祉や医療といったサービスの現物支給にしていくべきだなどという政策提言をしています。

~引用

「私たちが提唱する「日本型ベーシックインカム」は、現金を給付することは考えていません。」

子ども手当に代表されるお金を渡すという現金給付からサービスを提供するという現物給付へと転換した」


「普遍的ニーズをみんなに配れば、結果的に格差は解消されます。当初の所得が200万円のAさんと2000万円のBさんがいるとしましょう。それぞれに20%課税すると、Aさんの手取りは160万円、Bさんは1600万円になりますが、税収となった440万円のうち、AさんとBさんに200万円ずつ「サービス」で給付すれば、Aさんの最終的な生活水準は360万円、Bさんは1800万円となります。格差は10倍から5倍に縮まり、税収の残り40万円は財政再建に充てられる。
大切なことは、貧しい人も納税者になり、富裕層も受益者になる中で、格差を小さくできるということです。」


引用終~

この人たちって昔のソビエト(現在ロシア)とか戦時中の日本がやっていた配給制でも復活させたいのでしょうか?

形は違いますが自称右派系の方もヘンなことを言っていますね。

~引用

直感的に言うなら、増税して吸い上げた分の一部は、確実に貯蓄に回っていた(そしてそれによってGDPが縮小していた)一方、政府が吸い上げて使えば、貯蓄に回る分は「ゼロ」になり、結果、経済は拡大する、という次第です。
しかし、この均衡予算乗数理論は、「税の種類」の区別を考慮しない理論で、現実に適用するには、留意が必要です。経済(GDP)に対するインパクトはもちろん、税の種類によって全く異なるからです。
「企業の内部留保」がやたらと多い今日、法人税を増やしてそのまま支出すれば、経済成長が期待できます。今や、「企業」は「家計」の約二倍もの金額を貯蓄しているのですから、「政府が吸い上げて使う」効果は、理論通りにプラスになることが期待できるのです(https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf によれば、家計約13兆円に対して、企業は約24兆円も毎年貯蓄を増やしています)
一方で、消費税が増税されれば、GDPの6割を占める消費に対する「罰金」効果が拡大し、消費それ自身が低迷する「ブレーキ」が大きくかかります。しかも、昨今では消費のメイン主体である世帯の貯蓄は、企業のそれの半分程度。だから、均衡予算乗数理論が主張する「政府が吸い上げて使う」効果は限定的です。

~新・経世済民新聞 【藤井聡】「消費増税解散」を考える~

引用終~

民間が貯め込んでいるカネを国が召し上げて代わりに遣ってやればいいということみたいですね。すごいこと言っています。しかも教育・医療・福祉よりもコンクリートにカネを遣えです。(一応研究開発、科学技術投資もワイズスペンディングに加える考えは持っているようですが・・・・。)

とある経済評論家からDVを受け続けたさかき漣さんのブログ記事にこんなことが書いてありました。

引用
「例えば、「電話やメールで脅迫の文言を繰り返す」、「生活費を渡さない」、「DV被害者の携帯電話を捨てる」「DV被害者から保険証やクレジット・カードを取り上げる」、「DV被害者の大事にしている物品を壊す」、「DV被害者のプロバイダ契約やメールアドレスを勝手に解約する

「そして鬱積が最高潮になった状態で、彼は帰宅する。するとそこには、自分の飼い犬(つまりは餌も寝床も生殺与奪の権さえも自分が握っている生き物)が“いる”ではないか。密室であり傍観者は誰もいない今、彼は、本日のすべての鬱憤を弱者にぶつける・・・
さて数時間後、彼の気持ちは晴れやかだ! 目の前にはボロ雑巾のような生き物が横たわっているが、水と餌を与えておけば明日にも治っているだろう、と彼は考える。
このメシは誰のお蔭で喰えるんだ、言ってみろ、クソババア
「あなたのおかげです」」

 さかき蓮さん 
 「DV加害者の二枚舌と“共犯者の存在” 2015.06.19
 「なぜDV被害者は加害者から逃げられないのか 2015.06.28筆」より

引用終~

民進党議員(現在希望の党立憲民主党などに分裂)やら井出英策教授、藤井聡らの発想は某経済評論家がやったDVと似ていますね。国家社会主義は国家が国民から経済的自由を奪い縛り付けるという虐待行為(経済的DV)です。

~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

サイト管理人 凡人オヤマダ ツイッター https://twitter.com/aindanet
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