新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

財務官僚が煽る国家財政危機の嘘 その4 社会保障費

2017年9月18日に安倍総理衆議院解散総選挙をチラつかせながら、2019年10月の消費税率10%引き上げを予定通り行い、その引き上げ分を教育無償化や社会保障制度の見直しにあてることを自民党の公約に盛り込む方針を示しました。このとき安倍総理は「10%引き上げの増収分を国の借金返済から社会保障の充実に振り向ける」ことを述べたのです。

この安倍総理の発言を聞いた人の中で幾人かが、以前政府広報で「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」と書かれていたのを思い出し、「おかしいじゃないか」「いままで嘘をついていたのか」と怒り出しました。
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参考 安倍総理の発言に疑問を持った人の記事

上の記事では消費税率引き上げのときに全額社会保障費の充実に向けて活用すると言っておきながら、実は増えた税収分のわずか2割しか回されていないことを安倍総理はゲロしてしまったのです。5%引き上げ分のうち4%は「後代への負担つけ回しの軽減」とか「近年の社会保障の高齢化等に伴う自然増の財源確保」として、実際には国の借金返済などに充てられてしまい、社会保障費の拡充には1%分しか回されていなかったのでした。
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引用元の記事は安倍総理を批判する内容のものですが、社会保障・福祉を疑似餌にして増税を画策するのは財務省の役人の常套手段です。細川護熙政権が突如国民福祉税を打ち出したときからはじまるもので、小沢一郎と「官僚の中の官僚」「大物(ワル)」と言われ、民主党政権時代に日本郵便の社長として天下った大蔵事務次官斎藤次郎との合作だと伝えられています。

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国民の生活が第一」どころか「官僚の利権が第一」というのが汚沢政治であります。

消費税が社会保障予算に遣われないことはとっくの昔から言われ続けてきたことです。

安倍総理は前々回の衆議院解散総選挙前に著名人に増税の必要性を訴える財務省のレクチャー部隊の存在をゲロしたことがありましたが、消費税率引き上げ分を社会保障に向ける発言も官僚の悪巧みを世間に暴露する戦法だったのかも知れません。(私は安倍総理のことを正直な人と評価しています)

消費税収は一般会計の歳入となります。当然のことながら国債償還費やインフラ整備、防衛費、教育費などといった他の予算と同じ会計で扱われ、言葉悪くいえばどんぶり勘定です。年金や医療保険雇用保険等は特別会計で一般会計と分離されています。本来でいえば年金や医療保険は他の予算に流用されないように特別会計として分離し、その中で完結させることが原則ですが、給付額が保険料収入を超過しているために一般会計で補填しているのが日本の実情です。このような状況になった理由はやはり20年間のデフレにありますが、どちらにしても消費税率を引き上げて社会保障費に充てるという考えは世界的にみて異質なものだと覚えておいてください。

消費税は家計のうち消費へ回す割合が高くなりがちな低所得者層に対しても、景気の好不況に関係なく課税されるものです。逆累進性の問題はかねてから問題視されています。消費税を財源の当てにする社会保障高所得者から低所得者への再分配機能を失効させるものです。立命館大学の唐鎌直義教授は「消費税によるものは社会保障と言えない」と喝破します。(実は昔自分は大学時代に唐鎌先生の講義を受講していたことがある)

1997年の消費税率引き上げと緊縮財政、そして雇用の不安定化は日本経済を長期の停滞に陥れてきたのですが、このことは国家財政の一般会計や社会保険制度の収支も悪化させていきます。景気が悪化して歳入や保険料収入が落ちると同時に歳出と給付が増え、また増税と保険料引き上げを繰り返すという愚を犯しかねません。

この問題は改めて書く予定です。

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