新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

患者を殺す劣悪なブラック病院

先日岐阜の「Y&M 藤掛第一病院」で高齢の入院患者5人が相次いで熱中症で死亡するという事件が発生しました。
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この記事を書いている今年2018年はかなりの酷暑でしたが、にも関わらずこの病院は8月20日から1週間近くもエアコンが故障したまま放置していたことが判明します。この病院を訪れた見舞客らは異様に室内が暑いことを証言しました。

現在岐阜県警はこの病院を業務上過失致死の容疑で捜査を進めていますが、最初にこの事件のニュースが入ったとき、殺人容疑で警察が動いていると報じられています。尋常なことではありません。この事件の一報を耳にしたとき私はかなり前に読んだマンガ「ミナミの帝王」の40~41巻「白い闇」編に出てきた宇田川病院のことを思い出しました。藤掛第一病院はこの悪徳病院並みに杜撰な経営をしているのではないかと想像したのです。その後の報道を聞くと「やはりそうか・・・・・」と思わざる得ません。

このマンガはみなさんご存知のとおりトイチの金貸しである萬田銀次郎が、宇田川病院に入院した男から借金のキリトリをするために病院へ乗り込みます。病室に入った萬田は医者の姿や病棟内の異様な暑さや悪臭に異変を感じ、金を貸した男の病室に入りますが、この男は萬田に「ワシ殺されるねン!」としがみついてきます。
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萬田が男の背中に触れると褥瘡で皮膚がめくれていることに驚かされました。そこへ院長の宇田川が姿を現しますが、萬田が「クーラーぐらい付けたらどないでんねん?」と宇田川に問い質します。すると宇田川はクーラーなんかつけたら患者が風邪をひくだの、ワシは患者の健康を第一に考えてクーラーの間引き運転をやってンやなどと開き直ります。
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 「ミナミの帝王 第40巻 ~白い闇~」より


藤掛第一病院の藤掛陽生院長も、マスコミの取材に対し「患者さんの中にも暑い部屋がいいという人もある。その人はタバコをもの凄くのんでいたの若い時に、やっぱりねタバコはひどいね」などと、宇田川そっくりの発言をします。マンガからそのまま登場してきたような人物です。

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   病院長「対応に問題ない」「暑い方がいいと言う人もいる」

今回の事件は死亡した入院患者の成年後見人が岐阜中署を訪れたことによって発覚していますが、この病院のあまりにひどい内情を見かねた職員による内部告発も噂されています。

この病院ですが、初代の院長時代は子供の風邪なども診てくれるごく一般の病院だったようですが、問題の二代目院長・藤掛陽生の代になってから、終末期専門病院になっていきます。
現在の医療保険制度は長期の入院患者に対しては診療報酬が減額される仕組みですが、藤掛第一病院は他の病院で診切れなくなった長期入院患者を多数受け入れ、人件費や光熱費などを最低基準スレスレまで徹底的にコストカットして経営していたようです。言葉悪くいえば姥捨て山のような病院です。
身寄りのない患者ならばどんなにひどい扱いをしても、家族から苦情を入れられたり通報されることもありません。病院はやりたい放題です。

こうした病院は藤掛第一病院だけではなく、全国にいくつも存在するでしょう。下はとある精神病院に勤める職員の内部告発らしきネット投稿です。

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あと看護師が点滴の中に消毒薬を混入させて入院患者を何人も殺すという事件が発生した病院も、方々から終末期の患者をかき集め、入院させていました。
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この病院はパワハラが蔓延し勤務環境が劣悪なため、どんどん医師や看護師が流出し、他の病院ではまともに勤められないような医師や看護師ばかりが集まってくる有様です。

 女性自身

 連続殺人「大口病院」元看護師が「事件の動機」を独占告白


看護師による患者殺害という事件はこの病院で起こるべくして起きたといえるのではないでしょうか。

上で挙げた病院はいずれも他院に入院していた長期入院患者を引き取っていたようですが、長期入院患者は、入院期間が一定期間を超えると診療報酬が減額されます。普通の診療行為をしていたら旨味が全然ない患者です。そのために医師や看護師の数や給与を基準ギリギリまで削減し、エアコンや照明などの光熱費を抑え込むような経営を行うのです。

こうした病院はブラック病院だと見做せますが、患者の放置だけではなく過剰診療行為ならびに診療報酬の水増し請求の可能性も疑っておかねばなりません。
入院(もしくは転院してきた)患者に対し、点滴や投薬、胃ろうなどといった治療や検査をフルオプションで行うことで、診療報酬を稼ぎまくるのです。過剰な治療行為だけではなく、実際にはやってもいない治療を保険請求のレセプトに書き込む診療報酬の水増し請求にも手を出している可能性が想起されます。
国や厚生労働省側はそれを阻止すべく、一定期間を超えた入院患者の診療報酬を定額制にするといった手を打ってきますが、抜け道があります。入院期間が一定以上を過ぎたら患者を他院に転院させ、転院先でまた入院期間が一定以上を過ぎたら転院させるということを繰り返せばいいのです。

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 「 ミナミの帝王 第40巻 ~白い闇~」より

ミナミの帝王~白い闇~」は十数年以上も前に描かれたものですが、過剰診療行為や診療報酬の水増し請求が常態化したブラック病院が無数にあるならば、それは国民から集めた保険料や税金で成り立つ公的医療保険の財源を喰い散らかす”白”アリというべき存在でしょう。入院患者をまるで家畜のように扱い、医療費を水膨れさせてしまう許しがたき行為です。(もちろんさすがにマンガに描かれているほどエグいことはやっていないでしょうけど)

そうした腐敗しきったブラック病院はそこに勤めた職員たちの心身を荒廃させ、医療従事者としての誇りや意欲、志、自信を破壊していきます。当然職場環境は病的で陰湿極まりないものとなり、パワハラや暴行だけに留まらず、最悪殺人事件といった重大犯罪を発生させるに至るのです。病院に限らず老人介護施設障がい者福祉施設においても信じがたい凶悪犯罪が発生しました。そうした問題についても考察していきたいです。

(2018/9/11 加筆修正)

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