新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

外国人の生活保護受給状況はどうなっている?

前回記事「かなり湾曲されて伝えられている生活保護不正受給の実態 」で片山さつき議員や在特会といった極右活動家たちは在日外国人が税金も払わず生活保護を受給し、寄生するかのように日本国民の財産を収奪しているといった悪質なデマを流し、煽動していたことを書きました。

イメージ 1

イメージ 2

上のビラに「年額2兆3千億円が在日朝鮮人生活保護費として使われている」などと書いてありますが、厚生労働省生活保護費負担金の内訳を確認したら一発でそれがデマだというのがわかると書きました。
イメージ 3

平成24年は3兆6千億円が生活保護負担金の総額となっていますが、その負担金の半分は医療扶助費です。生活保護利用者が生活扶助や住宅扶助という形で直接現金で支給されている額がざっくり計算で1兆数千億円程度しかありません。どうやって2兆3千億円を在日朝鮮人に渡すのでしょう? 日本の医療関係者のほとんどが在日朝鮮人だというのであれば話はわかりますがw いったいどういう資料を見て、どういう計算をして2兆3千億円という数字を出してきたのでしょうか?

「働かず年600万円貰って」というのも何の根拠がある数字でしょう?生活保護世帯が月額50万円も貰っているなんてありえないですよね。生活保護の基準額を調べたら全くのウソだというのがわかります。

 生活保護受給額自動計算

基本的な生活保護の制度構造の知識はもちろんのこと、初歩的な統計の見方すら知らない人間が作成したビラでしょう。ここまでお粗末なものは見たことがありません。

生活保護のことを語るのであれば最も基本的な統計資料を読んでからすべきでしょう。

同じビラですが、こちらのサイトでもこっぴどく批判しております。読ませていただいて彼らの思考が読めてきました。


無職46万人全員が生活保護を年間500万円もらっているとして計算して2兆3000億円・・・・・。
なんだこりゃです。

もう何度目かの引用になりますが、在日外国人の生活保護の利用状況についてはヨミドクターの原昌平編集委員が書かれた記事で簡潔にまとめてあります。


在日の外国人が世帯主である生活保護世帯数は約4万数千世帯以上で、生活保護利用世帯数は約160万世帯、利用人数が200万人以上ですので外国人が世帯主の世帯や利用者である割合は、せいぜい2~3%程度です。この点でも上のビラの数字がかなりかけ離れていることがわかります。在日朝鮮人の無職者46万人が全員生活保護を貰っているなどと思い込んでいるというおめでたさです。次回以降に書く予定ですが、生活保護は役所に「失業してお金がないです」と言って申請したら簡単に受給が認められると思っているのでしょうか?

生活保護を受給している在日外国人世帯で多くを占めるのが、韓国・朝鮮人、フィリピン人、中国人、ブラジル人です。支給額は2016年で1200億円程度になります。

イメージ 4

外国籍受給者の中で韓国・朝鮮人の受給がトップであることは歴史背景上当然かと思われます。

支給率ですが韓国・朝鮮人籍が14.2%でフィリピン籍が10.9%と目立ちます。そのために彼ら・彼女らが日本の生活保護に依存していると攻撃される原因になっています。
しかしながら韓国・朝鮮人籍の人の場合、高齢者の比率が高くなっていることが受給率が高い要因です。下の表を見ても受給者の6割が高齢者です。
イメージ 5
フィリピン人受給者の場合、母子世帯が目立ちます。日本人男性と結婚したものの、死別や離婚をして母子家庭になるというケースが多いからです。ちなみに私が昔世話になっていた人材派遣会社も工場派遣はフィリピン人女性が主流でした。日本人と結婚して共稼ぎという人がいましたが、離婚して母子家庭で働いているという人がかなりいたものです。

生活保護バッシングがひどくなった2012年は民主党政権の最末期でしたが、日本の経済は沈滞し、おまけに菅直人政権時代に起きた尖閣諸島不審漁船襲撃事件や韓国・李明博大統領の竹島上陸、中国での激しい反日デモと外交・国防上の対立や摩擦が過熱化しておりました。日本国内でも異常な「嫌韓・嫌中ブーム」が発生します。

当時の状況について書いた当方のブログ記事

生活保護バッシングを焚きつけた片山らは「嫌韓・嫌中ブーム」を唱えていたネット右翼や極右活動家たちに便乗し、在日コリアン生活保護をただ乗りしているというデマを流しました。

リーマンショックで日本経済は深刻な打撃を被ったのですが、自民の麻生政権から民主党政権に至るまで、思い切った金融緩和政策やヘリコプターマネーの実施といった大規模な財政出動といった手を打たず、デフレを放置したままだったことはこのブログで散々批判しました。日本がひどい円高不況で苦しんでいる間に中国や韓国の経済力が伸び、国内総生産世界第2位の座は日本から中国に移ってしまったのです。
これまで自分たちが散々見下し、バカにしていた中国や韓国に日本が抜かれてしまうという国辱を与えられたのが、この時期でした。

自国の経済力をいかに高め強くするかという建設的な議論をするのではなく、生活保護バッシングや「嫌韓・嫌中ブーム(さらには反米まで)」という形で他者・他国を激しく罵り、自己愛(ナルシスティック)な愛国心に酔っているだけの有様を見て自分は心の底で「ここまで日本人は卑しく、貧しく、浅ましくなってしまったのか」と嘆かざるえませんでした。(当時こんなことを口にしたら「在日」だとか「嫌日」というレッテルを貼られ、激しく攻撃されていたことだろう。)

生活保護世帯や外国人に八つ当たりするような子供じみた行いをするよりも、タフネスな日本経済をいかに取り戻す努力をすべきでしょう。それが真の愛国であると私は考えます。「アベノミクスとリフレ政策 」で書いてきた記事はそうした想いが詰まっております。

今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

サイト管理人 凡人オヤマダ ツイッター https://twitter.com/aindanet

イメージ 1