新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

国家社会主義者から敵視されるベーシックインカム

疚しい理由でベーシックインカムに反対する人たち 」の続きです。前回書いたことはベーシックインカムや給付付き税控除はそれによって既得権益を失う政治家・官僚・特定業界からの激しく、かつ狡猾な妨害工作にあってなかなか実現しないのではないかという話をしました。

その理由はベーシックインカムや給付付き税控除は国民に無条件で直接現金を給付するもので、政治家や役人などの恣意や裁量が入り込む余地がないものだからです。企業や法人団体等に公共事業や補助金をばら撒く場合は役人が企業や法人団体に対し、天下り斡旋などといった利益供与を求めるなどといったことを行う余地がありますが、ベーシックインカムや給付付き税控除にはそんな座布団を求めることができません。

ここ最近財政拡大を強く主張する人たちが大きく目立っていますが、これで気をつけるべきことは必ずしも国民個人に徴収した税を還元したり、厚生福利の向上につながるものになるとは限らないということです。極端をいえば上で述べたように官僚が天下り先という座布団を確保するために特定の法人にカネをばら撒いても財政拡大になります。経世会全盛期の自民党を代表するように土木建設公共事業が利権誘導型財政政策の典型といえるものですが、「福祉にお金を遣います」といっても油断できません。介護福祉業界も役人の天下りや福祉マネーを狙う異業種のブラック事業者がいっぱいいます。そんな事例は「社会保障・福祉・医療問題 」の「福祉を喰い物にする天下り役人と介護福祉ブローカー 」で紹介しました。

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1996年に発覚した特別養護老人ホーム汚職事件の岡光序治厚生次官と彩福祉グループのオーナー:小谷博史

国民の血税によって賄われた財源を自己へと利益誘導してしまう政治家・官僚・特定業界といったレントシーカーらにとって最も居心地がいいのは社会主義化された国家です。

ここで国家社会主義とは何かということと、それが崩壊する理由について述べておきましょう。
国家社会主義とは政府が民衆が産み出した富や財を収奪・独占し、その配分の裁量権を政治家や官僚が握ってしまうような社会システムです。民間に任せきりにしてしまうと社会秩序や経済秩序が不安定になるから、優秀な政治家・官僚がしっかり統治していかねばならないという発想がもたらしたものです。

社会主義国家がなぜ崩壊したのかについてはここでも何度か説明しています。

多くの人々は「社会主義国家が失敗したのは「市場競争がなく、まじめに働いた人も怠けた人も同じ報酬しか受け取れないから、誰もまじめに働かなくなってしまった」と勘違いしていますが、正確ではありません。
社会主義が崩壊したのは本来民間が担うべきモノやサービスの生産・供給活動を、シロウトの無能な政治家や官僚らの支配下においてしまい、デタラメな生産計画で産業を潰しまくったことや、能力や意欲のある生産者を「資本主義者」「富農」などといって粛正してしまったことにあります。
あと社会主義国家の場合、人民が生産者した富や財を国家がすべて召し上げてしまい、それを政府高官らが戦争やら屑鉄しか生産できないようなコンビナート建設に使い込み、自分の私服を肥やすために流用してしまうことが横行していました。人民が懸命に生産をあげても、全部国家のもので、自分たちにほとんど還ってきません。これでは労働意欲が無くなって当然でしょう。与えられたノルマだけこなせばいい・こなしたフリをしればいいという行動をとるようになります。

よくベーシックインカム社会主義だとかいう人がいますが、そういう人こそ社会主義を理解していなかったり、国家主義官僚主義的な思考を持っていたりします。国家社会主義者は人々からさまざまな自由を奪い、権力欲や支配欲が強いです。もしベーシックインカムのように国民が自由に遣えるお金をばら撒いてしまう制度ができたら、カネの力で人々を屈服させ、支配することがやりにくくなります。それを望む官憲主義者やブラック企業の経営者みたいな人間はベーシックインカムの導入に激しく抵抗するでしょう。

支配欲や権力欲が強い人間は支配したい人間からカネを奪い、カネを稼げなくさせ、カネを与えようとしません。経済的自由を奪うのです。

自分が書いた「財政政策は現物(官給品)よりも現金直接給付中心にした方がいい 」という記事の抜き書きです。

とある経済評論家からDVを受け続けたさかき漣さんのブログ記事にこんなことが書いてありました。

引用
「例えば、「電話やメールで脅迫の文言を繰り返す」、「生活費を渡さない」、「DV被害者の携帯電話を捨てる」「DV被害者から保険証やクレジット・カードを取り上げる」、「DV被害者の大事にしている物品を壊す」、「DV被害者のプロバイダ契約やメールアドレスを勝手に解約する

「そして鬱積が最高潮になった状態で、彼は帰宅する。するとそこには、自分の飼い犬(つまりは餌も寝床も生殺与奪の権さえも自分が握っている生き物)が“いる”ではないか。密室であり傍観者は誰もいない今、彼は、本日のすべての鬱憤を弱者にぶつける・・・
さて数時間後、彼の気持ちは晴れやかだ! 目の前にはボロ雑巾のような生き物が横たわっているが、水と餌を与えておけば明日にも治っているだろう、と彼は考える。
このメシは誰のお蔭で喰えるんだ、言ってみろ、クソババア
「あなたのおかげです」」

 さかき蓮さん 
 「DV加害者の二枚舌と“共犯者の存在” 2015.06.19
 「なぜDV被害者は加害者から逃げられないのか 2015.06.28筆」より

引用終~

ちなみにDV行為を行った某経済評論家はやはりベーシックインカム導入に反対し、土木建設関連の公共事業を中心とした財政拡大ばかりを主張します。
もう一度言いますが、
国家社会主義は国家が国民から経済的自由を奪い縛り付けるという虐待行為(経済的DV)です。

人々から経済的自由を奪う人間は直接的な現金支給を好みません。現物支給にしろと主張したがります。

ベーシックインカムはこうした国家社会主義的思考と真っ向から立ち向かうものです。
特定の少数の人間が握ってしまっているお金を幅広く分配することを目指し、それを遣う裁量権を市民に取り戻すお金のデモクラタイゼーション(大衆化・民主化)です。自由主義的思想が裏打ちされているのがベーシックインカムです。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

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