新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

リフレは継続なり ~「アベノミクスとリフレーション政策」編最終回~

アベノミクスとリフレ政策 」編の最終回です。基本的にこのシリーズはリフレーション政策の基本的な理論や考え方を解説してきました。ゲーム理論を活用したインフレ目標のコミットメント効果やマネタリーベース拡大による量的緩和中央銀行による長期債券買受による金利操作(質的緩和)、国債の現金化(財政ファイナンス)による大規模な財政出動などについて述べてきております。

リフレーション政策の考えを採りいれた第2次以降の安倍政権による経済再生政策・アベノミクスは早くも2018年の今年で5年目になろうとしています。2014年4月の消費税8%引き上げなどのノイズが入ったりしましたが、おおむね順調良く投資ならびに雇用が回復し続けました。やや時間がかかりましたが失業率は物価上昇点に達する目前のところまで下がっております。

しかしながらいまの日本の経済はまだ病み上がりです。20年間も治療を放置し病状が深刻化してリーマンショックが起きた2007年あたりに重篤化しました。白川方明日銀総裁民主党というヤブ医者が治療を誤り、あわや蘇生不可能・・・・・となる前にアベノミクスで一命をとりとめ、5年目にしてICUから出られそうだといったところでしょうか。

今回のリフレーション政策は第2次以降の安倍政権が強力であったことがその実現へとつながったと考えられますし、逆にリフレーション政策が安倍政権を強くし続けたともいえましょう。

とはいえこのまま黙っていても、日本の経済が自律的に力強く回復し続けるほど状況は甘くありません。最低でもあと数年いまの雇用情勢を維持し、国民の所得が向上し続けないと、本格的なデフレ脱却を果たすことはできないでしょう。「失われた20年」という異常な慢性的デフレで日本の産業が衰弱化し、就職氷河期に遭遇してしまったことによって職能が腐食したまま中高年を迎えてしまったという人も大勢います。その傷を癒すほどにはまだ至っていません。前々回述べましたが、日本で生まれてから一度も経済成長を経験しないまま成人を迎えてしまった人たちがいるのです。彼らは自分たちの所得が年を追うごとに増えていくという経験をしていません。これでは思い切った買い物ができないでしょう。

日本は20年間も経済を停滞させたのだから、この先10年・20年成長させ続けねばならないのです。
そうしないと日本という国は世界の中で埋没し、後進国へと転落していくことになるでしょう。海外の食糧品を安く買うとか、不足する人手を外国人労働者の受け入れで賄うこといったこともできなくなっていきます。

しかしながら今の国会議員のほとんどがまともに経済政策を理解しておらず、野党はほぼ壊滅状態です。与党内でも経済政策に精通しているのは安倍総理菅義偉官房長官山本幸三議員、和田政宗議員ぐらいです。つまりはいまの安倍政権が退陣した後は再び日本の経済は衰退への道を辿っていってしまう可能性が高いです。企業の活動が弱まり、雇用が悪化した上に増税や緊縮財政によって国民はうんと窮乏化していくことになるでしょう。

民進党希望の党立憲民主党の経済音痴ぶりは目も当てられません。民進党および旧維新の会には金子洋一氏や馬淵澄夫氏、小沢鋭仁氏などもリフレーション政策に精通しておられましたが、今は皆議員資格を失っています。あと安倍政権発足前よりリフレーション政策導入を訴えていたみんなの党は解党してしまい、渡辺喜美氏と上で述べた和田政宗氏以外は「歌を忘れたカナリア」状態になっています。

2007年のリーマンショックレベルの大不況が再来した場合、それに対応できる人材がいまの政界で数名しかいない有様です。

近年では長期政権となった第2次以降の安倍政権ですが、いつか終わる日がきます。総理の宿願である憲法改正東京オリンピック成功を遂げたあとに勇退という流れになるかも知れません。リフレーション政策を引き継げる者が不在です。今の時点で安倍総理のように経済と外交(防衛)双方を難なくこなせそうな逸材は見当たりません。
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経済活動を統治していくには金融政策の知識が不可欠です。ところがいまの国会議員のほとんどがそれを理解していません。国民自身が金融政策を理解しようとしてこなかったから当然です。自国の経済は自分たちで護るという意識が低すぎるのです。いまの安倍政権とアベノミクスという神風が吹きやむ前に金融政策に精通した議員をどんどん国会へ送り出さないといけません。

多くの人々にとって金融政策は非常に馴染みが薄く、わかりにくいものです。しかしそれはわたしたちの暮らしに非常に大きな影響を与えています。1990年からはじまった日銀の金融引き締め基調が多くの人から職や所得を奪い続け、国力を衰弱化させてしまったのです。

今回のシリーズはリフレーション政策の基本理論を中心に解説してきましたが、次回から取り上げる 財政政策のあり方政府(市民統治)貨幣について の話をする上でも重要なことをことをいくつもお話してきました。多くの人たちは財政政策の方ばかりに関心が向きがちですが、金融政策の知識を知らなければそれらを有効活用できないと強調しておきたいと思います。

~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

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