新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

政府(市民統治)貨幣

日本で政府貨幣(統治貨幣)制度を採り入れる日は来るのか

今回で「政府(市民統治)貨幣 」編の最終回にしたいと思います。 まずこのサイトで政府貨幣(統治貨幣)制度を取りあげた理由について述べていきましょう。 それは自分が経済学の初歩的知識を求めている間に見つけたあるサイトで、銀行による信用創造で貨幣…

適正な貨幣発行供給管理と財政の公正な分配ができるのか ~統治貨幣制度の課題~

非常に簡単ではありますが、アイスランドの通貨改革について解説してきました。私がアイスランドのフロスティ・シガーヨンスソン議員によってまとめられた「通貨改革 アイスランドのためのより優れた通貨制度」を読んだとき、「これはなかなかよくできたレジ…

アイスランドの鍋とフライパンによる無血革命が物語る自主・自立・自律の精神

2008年アメリカのサブ(ノン)プライムローンショックのあおりを受けて金融危機に陥ったアイスランドですが、これはこの国の主要銀行が15%以上にも及ぶ金利上昇で超ハイリスク・ハイリターン型投機に手をつけてしまったことで起きました。アイスランドの主…

アイスランド通貨改革案における貨幣供給のしくみ

前回より「通貨改革 アイスランドのためのより優れた通貨制度」を参考に統治貨幣による通貨制度の考察をはじめております。2008年アイスランドで起きた金融危機の状況をみてきましたが、今回はその処方箋というべき銀行の信用創造停止と統治貨幣(政府貨幣)…

アイスランドで起きた金融危機

ずっと長々と貨幣数量論や金融政策の話ばかり続けてきた「政府(市民統治)貨幣 」ですが、今回から一転してアイスランドの貨幣改革について考察していきます。何回か紹介させて頂きましたが「通貨改革 アイスランドのためのより優れた通貨制度」という資料…

通貨改革というプログラムに恣意や裁量主義というウィルスが紛れ込む危険性

銀行が無秩序に貨幣や負債を殖やし続ける信用膨張を究極的に防止し、政府や中央銀行が貨幣の発行供給量管理をしやすくするという考えで生み出されたのがシカゴプランやアイスランド・ハンガリーなどで採り入れられたのが政府貨幣(統治貨幣・公共貨幣)化や1…

貨幣改革ですべての問題が解決できるのか?

「政府(市民統治)貨幣 」編では銀行が勝手に信用創造で負債と貨幣を増やしてしまうことを停止させ、貨幣を政府が発行するものにし、貨幣量や物価、投資、雇用、消費活動を統治していく制度にしていく貨幣改革(CI-Currency Innovation)について問い直し…

井上智洋さんと森永卓郎さんの貨幣供給に関する認識のまずさ

前回は駒澤大学の井上智洋准教授が提案するベーシックインカム(BI)と信用貨幣制度から政府貨幣(統治貨幣)への転換という通貨改革(CI-Currency Innovation)を組み合わせた貨幣発行供給レジームについてお話しました。この考えを知ったのは下記論文…

ベーシックインカムと政府貨幣制度を組み合わせられるか?~「BIからCIへ」のこと~

「ベーシックインカムと政府貨幣導入の話は切り離して論ずるべき 」という記事で私は基本的に通貨発行益をベーシックインカムの財源に遣うのは不適当だと指摘しました。ベーシックインカムは実現可能ですし私もその実現を望みますが、財源は所得税もしくは資…

財政政策が前のめりになるとろくなことがない

「政府(市民統治)貨幣 」編ですが、政府貨幣制度そのものよりも金融政策や財政政策、貨幣数量説のことが記事の主体となっています。市中銀行が無秩序に貨幣や負債を発生させることを防いで貨幣や物価、投資と消費の統治を直接的にかつ正確に行うというのが…

政府貨幣も実は負債(財を渡すという約束手形)?

資産バブルは銀行がどんどん勝手に信用膨張で泡銭をつくり、投機家たちに乱脈融資を行うことによって形成されることはこのサイトで何度も説明してきました。 参考記事「バブルと恐慌の発生 」 これを防止するために信用創造の停止と政府(公共・統治)貨幣化…

数十年前に停まったままの政府貨幣(公共貨幣・統治貨幣)制度の理論

1929年にアメリカで発生した世界大恐慌とその原因となった株式投機バブルによる銀行の信用膨張の反省からシカゴ大学の経済学者数名が集まってシカゴプランが練られました。それを新古典派の経済学者アーヴィング・フィッシャーが引き継ぎ、ミルトン・フリー…

マネーサプライはどのようにして増えるのか?

様々な変動要因が絡んできれいに理論どおり動くとは限らないとはいえ、貨幣数量説で説明されているマネーの量と物価の因果関係は存在するでしょう。「お金の量を増やしても全然物価が上がらないじゃないか」という批判をする人たちが大勢いますが、それは貨…

貨幣の流通速度も考えながらお金を供給していく必要性

前回記事「単純な貨幣数量説どおりにはいかないことを示したケインズ流動性選好説 」からつながる話です。 政府貨幣(公共貨幣・統治貨幣)制度への移行で政府や中央銀行が貨幣ならびに物価・雇用・投資・消費を直接的に統治させるという考え方は貨幣数量説…

単純な貨幣数量説どおりにはいかないことを示したケインズ流動性選好説

銀行の信用創造で勝手に貨幣や負債を膨張させることをやめさせ、貨幣の発行権限は政府・中央銀行のみとするという貨幣改革のアイデアはシカゴ大学の経済学者たちが産み出し、新古典派経済学者であるアーヴィング・フィッシャーがその理論的骨組みを強化して…

ベーシックインカムと政府貨幣導入の話は切り離して論ずるべき

私はすべての国民に一定額の現金給付を配布するベーシックインカムの実現を望む人間であり、その実現を計るための財源確保や制度設計のあり方を研究しています。しかしながら同じベーシックインカムという言葉を使っていても中にはトンデモなものがいくつも…

政府貨幣も例外ではないすべての貨幣に付き纏う膨張のリスク

世界大恐慌後にシカゴ大学の経済学者が中心となって練られたシカゴプランは民間銀行の信用創造の停止と100%マネー化を行い貨幣の発行権を政府に限定するというものでした。それは恐慌前の株投機ブームに銀行がのっかり異常な信用膨張によってモノやサービス…

政府貨幣や国債は打ち出の小槌ではない

政府貨幣(市民統治貨幣)の話は先にするつもりでしたが、ここ数ヵ月間ネット上で政府貨幣や国債発行、日銀の国債買受や直接引受(俗にいうヘリコプターマネー)で財源を確保して大規模な財政出動をという声が高まりつつあります。現行の安倍政権がやや歳出…