新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

「暮らしの経済手帖」5周年 経済と平和について

7月に入りました。今日7月1日は5年前にこのブログの前身である「暮らしの経済手帖」を開設した日であります。なおこのブログのプロモーショナルキャラクターとして制作した友坂えるも今日が誕生日です。



5年前に「暮らしの経済手帖」を開設したあとに「~ブログ開設記念~ 経済と暮らし そして平和について」という記事を書きました。また当時のブログタイトルの副題として「O Espírito Da Paz (平和の心)」とつけていました。健全な経済の発展が人々の暮らしを潤わせ、そのことが人々の心の荒廃を防ぎ、結果として戦争や暴力、略奪の縮小につながっていくのであるという話を書いております。なお友坂えるの名前は「ともに栄える」という意味合いでつけたものです。

 

それから5年目の今日世界で起きていることは、ロシアや中国といった軍事独裁国家による自由主義・資本主義経済システムの破壊と挑戦であります。2020年初頭には中国・武漢より発生した新型コロナウィルスの全世界的な感染爆発によってモノやサービスの生産と供給そして消費が混乱・停滞します。このことは現在世界的にみられる過剰な高インフレ発生の元凶にもなっています。そこへまたロシアのプーチン大統領ウクライナ侵略戦争を仕掛け、これによって原油天然ガス穀物をはじめとする食糧生産・供給が滞っております。プーチンはエネルギー資源や食糧不足を人質にとって全世界に対し恫喝しているかに見えます。

 

筆者は本田悦朗さんが2020年4月にされたツイートが忘れられません。新型コロナ禍やウクライナ侵略戦争はどちらも旧社会主義国家が引き起こした災厄です。これは人類にとっての癌細胞というべきものではないでしょうか。軍事独裁政権や社会主義国家は世界的な平和秩序と経済システムを破壊させ、共栄・共生どころか共貧・共死を招きかねないものです。

 

経済活動の活性化や合理性を追求していった場合、戦争というものは極めて邪魔なものです。自分自身で事業を興して商売されておられる方ならば顧客をはじめ、不要な争いごとを起こさない方がいいということに無意識的に気づかれているかも知れません。「金持ち喧嘩せず」という諺があるぐらいです。いや一般の勤め人であっても、四六時中顧客や上司、同僚と喧嘩ばかりしているような人は会社に居づらくなるでしょう。ビジネスの世界では腹の底で苛立ちや怒りがあったとしても、ポーカーフェイスでそれを表に見せず、紳士的に振る舞う方が得策だったりするわけです。

国家でも自国の経済活動・商業活動活発化によって国富を殖やすという姿勢であったならば戦争で他国を侵略して、その富を奪うようなことをしなくても済みます。むしろ戦争を引き起こすことで、生産設備を破壊されたり、人や資源を食い潰してしまうことは愚の骨頂であります。自由主義国家・民主主義国家・資本主義経済は戦争がない方が上手く機能します。あと商業活動にとって先がどうなるのかまったく予測不能な不確実性が高い状況もさまざまな不効率を生みます。

ところが軍事独裁政権や社会主義国家の場合はそうでなかったりします。民主主義国家の場合、あちこちに戦争を仕掛けて経済活動を麻痺させ、民衆の生活を疲弊させてしまったら、その国の為政者や政党は政権を奪われてしまうことでしょう。しかし軍事独裁国家や社会主義国家の場合はそうでないです。民衆が困窮しても独裁者とその取り巻きは肥え太ったままであったりします。逆をいえば社会主義国家は経済運営が上手くいかず、自国でまともにモノやサービスを生産できないからこそ、他国を侵略して資源や物品を略奪するようなことをやるとも言えます。軍事力で他国を威嚇したり侵略することで国威を高める覇権主義に陥りやすいのが軍事独裁国家・社会主義国家です。これまで歴史上において社会主義国家・社会主義者が行ってきたことは「奪う・壊す・殺す」の3つだけでした。

 

もし仮に今回のウクライナ戦争でロシアがウクライナ侵略に成功した場合、中国や北朝鮮核兵器をはじめとする武力による威圧や恫喝行為を周辺国に繰り広げることになりかねません。そればかりではなくこれらの国は図に乗って自由主義国家・民主主義国家・資本主義経済で支えられている国際秩序や経済秩序を破壊していくことでしょう。これを防ぐためにアメリカや欧州、そして日本はウクライナを支援し、ロシアの覇権主義を食い止めなければなりません。自由を護るための闘いです。

 

私たちはかけがえのない自由主義と民主主義を護るために、多大な負担と非効率を受け入れていかねばならないかも知れません。防衛費の増大だけではなく、軍事独裁国家・社会主義国家に依存しないエネルギーや食糧資源の供給網や生産活動です。既に中国は「世界の工場」といわれるぐらい工業製品の生産活動において無視できない存在になってしまいましたが、今後はこの国を供給網から外していかないといけないでしょう。それは静かに時間をかけて行っていくしかないのですが、この間世界中の民間企業は長年中国に対して行ってきた投資を捨ててでも事業撤退をするなどの痛みが伴います。この痛みは多くの一般消費者も物価上昇などといった形で受けることになるでしょうが不可避なものです。

 

食料品やエネルギー価格高騰による負担は人々に大きな不満を与えることになるでしょう。問題はその不満をプーチン中国共産党に向けるのではなく、自国の為政者や中央銀行に向けてしまうことです。エネルギー価格や食糧品価格が高騰する原因は経済制裁をかけているロシア産原油天然ガスが輸入できなくなったことや、ロシアから攻撃を受けているウクライナが小麦などの穀物供給において世界的に大きなシェアを占めていたことにあります。とくにEU圏は天然ガスをロシアからの供給に依存していました。またアメリカにおいても激しいガソリン価格の高騰がバイデン現政権の支持を危うくしています。日本においても同時に進んでいる円安と混同させるかたちで、マスコミが石油関連製品や食料品の値上がりに対する消費者の不満を煽り、日銀の金融緩和政策をやめさそうとしています。それと同時にウクライナ側に対し「ロシアの戦力には敵わないのだから、これ以上無駄な血を流さないように、早く降伏して停戦すべきだ」といった発言をする人や政党が出てきました。左派系だけではなく自ら自由主義リバタリアン)を自称する者の一部までもが、そこに含まれていたので呆れかえります。自ら自由主義者を名乗るのであれば、独裁軍事国家や社会主義国家に対し毅然とした態度を示すべきですし、理不尽な侵略行為と自由主義と民主主義の破壊を行う国家は破滅させられるという教訓を与えるべきです。

 

自由主義や資本主義経済システムは完璧なものではなく、戦争や暴力をゼロにすることはできないでしょう。しかし筆者はその最小化を計り、人々の幸福と暮らしのゆたかさを最大化させるのはこのふたつと民主主義であると信じます。この信念のもと、今後も「新・暮らしの経済手帖」を通じ、人々の安全かつゆたかな暮らしのための経済評論を続けていく所存です。

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マスコミはほんとうに国民の立場で経済政策を語っているのか?

コロナ感染拡大による生産活動の停滞とロックダウンなどで抑えつけられていた需要の反動増によって原油や食糧、半導体などの価格が高騰し、さらにロシアのプーチン大統領ウクライナに対して仕掛けた侵略戦争によって、さらにそれらの供給不足が深刻化しています。また今年3月あたりから円安の動きが急速に進んでいます。このことが円換算した輸入品の価格をさらに高騰させていると人々に思わせ、現在マスコミなどが日銀が進めてきた金融緩和を解除して金利を引き上げ、円安是正を計るべきだと言い出しています。

しかしながら筆者はこうしたマスコミの論調に異議を唱え、金利引き上げを行って円高にしても石油製品や食料品などの価格はさほど下がらないどころか、雇用の悪化を招いてますます国民生活を苦しくしてしまう危険性があると警鐘しました。リンクは今年1月に書いた記事です。

金融緩和打ち止め誘導の「悪い円安」論 | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)

今年に入ってから自分のツイッター上などを通して何度も上の記事で書いたような注意を促してきましたが、その主旨を簡単にまとめておきます。

  • 金融政策(金利操作)は、基本的に民間企業の事業投資意欲を活発化させたり、抑制させるもので、それによって雇用という形での所得分配、消費意欲、最後に物価というかたちで政策効果を波及させる。
  • 戦争やコロナ禍によるロックダウンなど海外の事情や天候に左右されるエネルギーや食糧などの資源価格は自国の金融政策で統治することはできない。そのためにその品目を除外した消費者物価指数コアコアCPIの方をみて金融政策の判断をすべきである。
  • 仮に日銀が金融引き締めをして円高に誘導しても、石油製品や食料品などの価格抑制効果はさほど大きくない。
  • 金融政策の判断は物価だけではなく雇用状況や企業の投資態度(生産活動にお金を遣う意欲)を見なければならない。
  • 為替相場の操縦を金融政策の目的にするのは禁じ手である。
  • 家計負担の軽減については特別減税や給付金、補助金等で対処した方がいい。

というものです。

多くの人たちは物価安を求めることが国民目線とか、庶民感覚だという捉えていますし、マスコミや政党・政治家たちもそれをスローガンにしたりします。筆者自身も自分の食事の材料を自分でスーパーやドラッグストアに行って買い出しに行きますが、やはり小麦製品や食用油などの価格上昇がキツいと感じているところです。

しかしながら国民の多くは消費者であると同時に生産者・勤労者でもあります。このブログは「暮らしの経済手帖」と名付けていますが、その「暮らし」は消費者としての「暮らし」だけではなく生産者や勤労者としての「暮らし」も含まれます。懸命に自分が働いてつくったものが、ひどく安く買い叩かれたり、賃金が下落したり、職そのものを失ってしまうようなことがあったら、ものの値段が下がってもそれを買うことができません。価格上昇は消費者目線でみたとき大きな不満となるのですが、それが下がったとしても所得がそれ以上に下がったら生活は苦しくなります。経済は消費者目線と生産者目線の両方を見ないといけません

今月6月6日に日銀の黒田東彦総裁が講演中に行った発言の中で「日本の計の値上げ許容度も高まってきている」という部分だけがマスコミに切り取られ、「誰も商品の値上げなんか受け入れていない」という反発の声が出ました。本来黒田総裁の発言の意味はコロナ禍でお金を遣いたくてもできなかったためにできた「強制貯蓄」があったために、何とか多くの家計は商品の値上げがあってもどうにかやりくりできたかも知れないが、今後良好なマクロ経済環境を維持して本格的な賃上げにつないでいかないといけないというものでした。しかし「日本の計の値上げ許容度も高まってきている」の部分だけが独り歩きし、報道をみた人たちが「黒田総裁は庶民感覚がない」などといって騒ぎ立てているわけです。

黒田総裁の話だけに限らず、岸田総理についてもネット上で「岸田やめろ」のハッシュタグが流れてきたり、これまで高支持率だった岸田政権の支持率が下がったと報じられています。筆者は岸田政権の経済政策や外交政策についての評価は低いのですが、マスコミの論調は円安や商品価格上昇を野放しにしているから岸田政権はダメだというもので、その背後にあるのは金融引き締めの催促です。筆者はこうした論調に賛同できません。今回の場合は金融引き締めが商品価格引き下げにさほど貢献しないばかりか、後の雇用縮小や金利上昇による中小企業などの資金調達コスト上昇という弊害をもたらすだけではないかと予想しているからです。円安で製造業などが輸入原材料や原油などの資源高でコストが上昇し、経営を圧迫しているといわれていますが、金融緩和解除で金利引き上げをやると資金の借り入れコストの方が上昇してしまい、結果として企業の経営を圧迫します。そのことは雇用にも影響してくるでしょう。そうした視野がマスコミにないのです。アメリカの場合は景気が過熱気味で、雇用の方も人手不足がかなり逼迫しています。そのために金利の引き上げで企業の事業投資を抑制するということには一理あります。日本についてはそこまで景気が過熱しているとはいえないでしょう。うっかり金利を引き上げると景気だけを悪化させ、ものの価格だけは下がらないというスタグフレーションを招く恐れがあります。円高にしても原油や食糧の資源価格そのものが高騰してしまっており、その分の価格抑制はできません。ウクライナ戦争終結までその期待はもてないでしょう。

商品価格上昇の対策については商品価格自体を下げることは無理だと思わねばなりません。戦争などの影響で生産供給が滞っている商品についての入手難は為替相場を弄ろうが解消されないのです。対処療法的ですが、資源高や円安で経営が苦しくなっている事業者への補助や減税・給付金などを通じた家計支援でやり過ごすしかありません。輸出を行っている大手企業などを中心に円安で業績が大きく伸びている事業者が多くあります。そうした事業者から所得税法人税を多く徴収できるはずです。それによって得た税収を逆に円安で損をしている事業者や個人の家計に補助金や減税、給付金などで補填するという方法があります。そういった提言ができないのが今のマスコミです。

「物価が低い方が庶民は助かるはずだ」とか「円安より円高の方が海外のものを安く買えていい」という発想は買い手の立場だけのものです。多くの勤労世帯は商品や労働力の売り手でもあります。基本的に「買い手」の立場だけでいられる人たちとは、働かなくても生活に困らない資産家、景気に影響されない公務員、年金生活者たちのことです。マスコミは就労や生産活動に参加していない人たちの都合しかみていません。

ものの値段を下げることだけではなく、自分たちの稼ぎをいかに殖やすのかという発想が必要です。よく円安について「日本の経済力が弱くなったために起きたのだ」と勘違いしている人たちが多いですが、そういう因果関係がどこにあるのでしょうか。むしろ円安の状況を活かして自国産業の建て直しやイノベーションを起こすことで、自国経済を立て直していくべきです。借り手の事業者の収益性が改善されていけば高い金利負担ができることでしょう。そうなったときに金利を引き上げればいいことです。

ともあれいまの商品価格上昇について金融引き締めや円高に向けた為替相場操縦しか対処方法がないというのは大きな間違いです。国民ひとりひとりの所得を殖やしインフレ下でも生活が苦しくないようにしていくという考え方を持つべきではないでしょうか。

 

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狂人プーチンによる全世界を巻き込んだ史上最悪の自爆テロ

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ほんとうはもっと早くこのブログでも取り上げるべきだったのですが、今回はロシアのプーチン大統領がはじめたウクライナに対する侵略戦争についてです。ロシア軍はウクライナの首都キーフをはじめとする都市にミサイルで無差別攻撃を行い、ウクライナ兵士だけではなく、罪なき子どもや女性らを含めた一般人を含めて数多くの犠牲者を出しています。さらに恐るべきことにウクライナ領内にある稼働中のザポロジエ原子力発電所にまで攻撃を仕掛けました。ジュネーブ協定違反です。この攻撃の目的はウクライナ国内の電力供給を断つ兵糧攻めではないかといわれていますが、さらに恐ろしい考えをプーチンは持っており、ウクライナ全土をチェルノブイリのように放射能汚染させて人が住めない状況にし、非武装中立地帯にしようとしているとまで囁かれています。核兵器を使わずにウクライナ全土を核攻撃したのと同じ状態にしてしまうというのは完全に悪魔的所業です。

このようなプーチンの蛮行を他国が黙って見過ごすわけではありません。理不尽極まりない侵略行為と決死の覚悟で闘うウクライナ兵士や市民たちに対し、欧米諸国は武器や支援物資を送り込むことの他に、ロシアに対しSWIFT(国際銀行間金融通信協会)やロシア中央銀行が持つ海外資産凍結といった金融制裁を与えます。これによってロシアの通貨ルーブルは国際的な商取引の決済に使えなくなり、国外では紙屑同然になります。当然ルーブルの価値は暴落するのですが、ロシア中央銀行保有している外貨準備を吐き出して為替市場介入することができず、ルーブル暴落を加速させます。ロシア側は天然ガス原油の輸出で積み上げた国益を吹き飛ばすことになり、自国通貨暴落で必要な物資の輸入価格が暴騰します。すでにロシアにおいてかなり高いインフレが発生しており、ロシア中銀の20%というとんでもなく高い政策金利で企業投資ができなくなっています。ロシア経済は破綻必至でしょう。SWIFTからの閉め出しや中央銀行の資産凍結は「金融の核兵器」といわれるほどの強硬手段です。ロシアは恐慌とハイパーインフレのダブルアタックに見舞われるでしょう。これはハイパースタグフレーションの発生といった方がいいでしょうか。

ウクライナ国民だけではなく自国兵士や自国民まで困窮状態に追い込むことを辞さないプーチンの行動は狂気の沙汰です。彼の行動は彼自身を含め全世界誰ひとりも幸福にしないでしょう。仮にウクライナを武力で征服しても、または逆にプーチン政権がクーデター倒され戦争が終結したとしても、リスクと不確実性の塊というべきロシアへ投資する他国企業はなくなっていきます。この戦争でロシアから事業撤退した企業は戻ってくるはずがありません。この国の窮乏化は何年、何十年と続くことでしょう。プーチンの行動に合理性は何ひとつなく、彼の思考がどうなっているのか理解に苦しみます。

ネット上でロシアをDV彼氏、ウクライナを元カノ(彼女)に例えている人たちがいますが、筆者はDV彼氏ことプーチンが、元カノのいるマンションに侵入し刺殺して、その後ガソリンを撒いて火をつけてマンションを丸ごと爆破させたように思えてきます。マンションに住んでいた関係のない住人も巻き添えになって死亡、マンションの近隣にもガラスの破片が飛び散ったといったところでしょうか。

筆者がこの戦争について第一に思ったことは、(旧)社会主義共産主義国家が全世界に撒き散らした災厄であり、自由主義に対する挑戦であるというものです。自由主義を護るためにもわれわれはウクライナに対し、最大限の支援をすべきです。ある自称・自由主義者ウクライナ大統領のゼレンスキー氏に「早く降伏しろよ」みたいなツイートをしていましたが、プーチンの暴走が自由主義最大の危機であるという認識が欠落しています。今回の戦争の行く末は中国共産党習近平もしっかりとみているでしょう。もし仮にウクライナプーチンの手によって陥落した場合、それをみた習近平も台湾や尖閣諸島を侵略してくるでしょう。日本も呑み込まれるかも知れません。

以前にも紹介しましたが、経済学者の本田悦郎さんが中国・武漢から新型コロナウィルスの感染が全世界に拡がってしまった状況について、旧ソ連時代に起きたウクライナチェルノブイリ原子力発電所事故(1986年)を想起すると仰っていました。 

このように国家社会主義共産主義は何度も世界中を巻き込む形で大規模な破壊と殺戮、汚染を繰り広げ続けたのです。非常に多くの尊き人命が失われたと共に、経済システムの混乱、巨額損失も与えています。国家社会主義共産主義は人類文明の癌細胞というべきものです。

コロナ禍と今回のプーチンによる侵略戦争は世界の経済構造やエネルギー戦略を大きく転換させることになるでしょう。民間の経済活動が積極的に進められる条件とは平和と安全、安定、そして自由が保障された社会です。ロシアや中国のように独裁者の恣意によって安全や自由が常に脅かされる国において、民間が安心して事業活動を行うことはできません。今回のプーチンの乱心によってロシアに投資した企業は巨額の損失を被ることになります。この国に事業進出したいという企業はもう現れないでしょう。

ロシアと取引していない民間事業者や一般個人も今回の戦争によって天然ガス原油高、電力コスト上昇という打撃を被ることになります。ロシアや中国に依存しない資源や工業製品の供給網(サプライチェーン)の構築が求められますが、それには時間がかかります。残念ながら我々はその大きな損失や負担を背負わないといけません。

しかしながらわれわれはその巨大なコストと犠牲を背負ってでも、国家社会主義との訣別を計り、自由主義と民主主義を護るために闘っていかねばならないのです。傍若無人な権力者を倒し、民衆が自由と民主主義を勝ち取るための闘いは無血ではありませんでした。数多くの過去の先人たちの血が流されています。それは現代においても変わらないという現実を突きつけられた思いであります。

 

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雇用悪化・緊縮財政で国民生活を痛めつけかねない宏池会・岸田政権の危険性

f:id:metamorphoseofcapitalism:20220122213555j:plain自民党岸田文雄政権が昨年10月に発足してから3か月以上経過しました。この政権は当初より経済政策の方向性に不透明感があり、筆者は岸田氏が自民党総裁に選出されてからモヤモヤした感覚を常に抱き続けています。とはいえどまだ自民党総裁選挙中はまだアベノミクスの継承や増税・歳出削減を封印する姿勢を打ち出しており、以前よりあった「財務官僚のポチ」といった風評を払拭するような政権運営をするのではないかという微かな期待も持ち合わせてもいました。

それから時が過ぎるにつれ、この政権に抱いていた不安や不信がどんどん確実へと変わっていきます。この政権は岸田氏と同じく宏池会に属し、緊縮色が非常に強い林芳正議員を外務大臣に任用したり、党の税調会長に同じく増税や歳出削減に前のめりな宮澤洋一議員をあてがったりしています。昨年12月に基礎知識編ブログの方でこの批判をしました。

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岸田政権は安倍政権が導入し雇用改善などで大きな成果をもたらした異次元金融緩和の縮小を計り、その上に増税ならびに歳出削減を進めていこうと目論んでいるようです。筆者はこの政権が長く続いてしまった場合、深刻な不況と増税・歳出削減で国民生活はかなり厳しいものになると予想しています。タイミングが悪いといま日本でも懸念されかけているインフレ(資源価格や食糧品などの価格を含めた方の物価上昇)が加速したまま、雇用や賃金分配が低迷し、さらには増税で苦しめられるという三重苦に国民が襲われることになるかも知れません

ここ最近ですが、アメリカなどで高いインフレが目立つようになり、アメリカの中央銀行FRBは金融引き締めに転じようとしています。日本でも原油や食糧品などの資源価格高騰を起因とするインフレの気配が出かけており、日銀の金融緩和を縮小していくべきだという発言をする人たちが目立ってきています。筆者は基礎知識編ブログの「金融引き締めでコロナ禍後のインフレを抑制できるのか? | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)」と「金融緩和打ち止め誘導の「悪い円安」論 | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)」で原油価格・食糧品価格などの高騰による物価上昇の場合は金融政策の引き締めは効果が望めないばかりか、企業活動の委縮や雇用の悪化だけをもたらしかねないと警告しました。

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よくインフレが発生した場合は金融政策を引き締めるべきだとされていますが、それは金利を引き上げて民間企業の事業投資を抑制させ、雇用や賃金分配の縮小で過剰な消費を抑えることで物価を引き下げていくものです。ロシアやOPECなどの資源産出国が生産を渋ってその価格が上昇してしまっている場合は金融政策の引き締めは無意味です。またここしばらくドル高・円安が進んでいる状況ですが、これも資源価格高騰でドル通貨の準備が必要なためにドル不足に陥っていることによるものです。いずれにしても資源生産や半導体などの供給不足が解消されない限り収まらないインフレだといえましょう。岸田総理や他の宏池会所属議員にそうした判断ができるかです。現在宏池会には有能な経済ブレインであった山本幸三氏がいません。

自民党宏池会という派閥は池田隼人氏が立ち上げたものでしたが、官僚出身の所属議員が多いのが特徴で「御公家集団」と揶揄されてきました。政策についても非常に大蔵省・財務省色が強く、財政規律を重視し増税や歳出削減に前のめりです。アベノミクスで採用された異次元金融緩和政策についても、消極的というか無理解です。また外交については親中国・韓国路線だともいわれています。安倍晋三元総理は清和会に属していますが、宏池会と清和会は対立的で経済政策や外交姿勢は真逆であり、いまの岸田総理は清和会色をどんどん払拭しようと躍起になっているように見受けられます。筆者は安倍元総理がすすめた異次元金融緩和政策は企業活動の活発化と雇用の改善に寄与したと高く評価しており、同じく安倍氏が進めた日本、米国、オーストラリア、インドの四か国同盟(クワッド)などの外交・安全保障戦略についてもその高い功績を認めています。しかし岸田政権は安倍・菅政権時代の経済的・政治的資産をすべてぶち壊しにしようとしているのです。岸田政権発足直後に行った衆議院総選挙で当初自民党公明党の苦戦が予想されたにも関わらず善戦して以降、この政権は完全に図に乗っているとしか思えません。官僚依存が強いマスコミもまた岸田政権に対して批判が非常に甘く、政策が迷走しまくっていても内閣の支持率は高い状態が続いています。宏池会のやりたい放題でしょう。

それと岸田総理は株価の動きに無頓着なようです。岸田政権以後金融所得課税見直しの話や自民党梶山幹事長代行の「株主利益を人的資本に投入」発言などでこの政権は何度も株価下落を起こしています。株価というと「庶民の暮らしに関係ない」と思われそうですが、忘れてはならないのは株価は先々の雇用状況に反映されます。このブログで何度も申し上げてきましたが、雇用とは人への投資です。株価は企業の将来の収益や投資意欲を占う上で確認しなければならないものです。

株価が低いままになっているということは企業が事業を積極的に拡大し、収益を伸ばす期待が薄いということです。こんな状況で積極的に人を多く雇い入れようとはしません。いまの政権ですとかなり長期の経済停滞を招きかねません。となってくると気になるのは新卒者の求人状況でしょう。再び就職氷河期が訪れる危険性が高まってきました。

景気や雇用の悪化で所得税法人税の税収が落ちて、それを補うために増税を行い、さらに景気悪化と国家財政の悪化を進行させることになるのではないでしょうか。ネット上で既に揶揄されていますが、岸田政権は「新しい資本主義」ではなく「新しい社会主義」を目指しているように思えてなりません。筆者はこの国がかつての旧ソビエトのように墜ちぶれ、やがて好き勝手自由にモノを買えないような状況になっていく気がします。

 

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運命のわかれ道の年となる2022年

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皆さま、新年あけましておめでとうございます。ここしばらくブログ更新が滞りがちになっていますが、今年も「暮らしの経済手帖」をよろしくお願いいたします。

今年一年について占う漢字一文字として筆者は「岐」を選びました。その理由は政治家や中央銀行、そしてわたしたち国民ひとりひとりの判断や行動が今後数年以上にわたる経済や政治、生活状況を大きく左右してしまう可能性が極めて高い年だと思ったからです。新年早々このようなことは申し上げたくないのですが、今年一年は経済や政治情勢、あるいは国際情勢が波乱づくめになるのではないかと筆者は予想しています。

もう皆さまがご承知のとおり、アメリカをはじめとする世界各国で高いインフレの動きが顕著となっております。日本では欧米ほどの高いレベルではないのですが、資源高や円安を起因とする物価上昇の気配が出かかっています。現在のところ企業物価指数は大きく上昇しているのですが、決して高い購買意欲であるとはいえない日本の消費者の事情を考え、日本のメーカーや販売店は企業努力で販売価格への転嫁を避けようとしてきましたが、限界を超えたためやむを得ず商品の値上げに踏み切る場面が増えてきました。

そうなってきますと、財政政策や金融政策の引き締めをすべきだという話が浮上してきます。既にアメリカの中央銀行FRBのパウエル議長は早期の利上げを示唆する発言をしています。昨年末「暮らしの経済手帖~基礎知識編~」の記事でも書きましたが、筆者はFRBの金融引き締め判断は早すぎで、物価抑制は本来は需要を膨張させすぎた財政政策の引き締めか、モノやサービスなどの財生産・供給活動を早期回復させることだと述べました。うまく景気や雇用を折らずに金融政策正常化へともっていければ御の字ですが、筆者は今年中盤あたりで早すぎる金融引き締めが災いして、企業活動が委縮し、雇用が再悪化する危険性を想像しています。

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村上尚己さんも筆者と同様の予想です。

toyokeizai.net

日本においても同様です。自民総裁選当初はアベノミクス継承を主張していた岸田現政権ですが、経済政策と外交・防衛政策は安倍・菅時代とは真逆の路線を歩んでいます。岸田総理は官僚色が強い宏池会に属していますが、茂木外務大臣の後任にやはり宏池会で緊縮財政色が強く媚中派といわれる林芳正議員を任命しました。税調会長もやはり緊縮派(緊縛派と言いたいが)として名高い宮澤洋一議員を任命しています。岸田政権の人事を見ていると露骨な安倍・菅路線否定で、金融緩和や積極財政を嫌い、中国よりの外交姿勢を感じさせます。彼らはお上の財政規律のことしか眼中になく、国民生活や雇用、民間企業の苦境を無視した経済政策を進めることでしょう。日銀の中でももっとも積極的に金融緩和の推進を主張されてきた片岡剛士審議員の後任ですが、おそらくまた金融政策のことをまともに知らないような素人を任命してしまうような人事を岸田政権がやらかす可能性が濃厚です。アベノミクス潰しにかかるでしょう。

そして習近平中国共産党覇権主義や暴走がどんどんひどくなり、香港はおろか台湾や尖閣諸島も吞み込もうとしています。そういう中で岸田政権のような媚中政権ができてしまったことは非常に危険です。有事勃発を覚悟しないといけません。

今年夏には参議院選挙をひかえているのですが、岸田政権の稚拙な経済政策や外交・防衛戦略によって雇用の再悪化や景気失速を招き、さらにはかつての民主党鳩山由紀夫政権のときのような外交・防衛の失敗をした場合、自民党は相当痛手を被る可能性があります。これがもとで極右ポピュリズム政党や政治家が現れないとも限りません。

昨年末に放送されたネット番組で山崎元氏や森永卓郎氏がかなり強烈な2022年の予想を打ち出しています。

www.youtube.com

山崎元さんも岸田さんが日銀人事を誤って、黒田総裁体制になってからの金融緩和政策を台無しにし、日本が再び数年単位でまた停滞することを危惧されています。

このままですと、この国やわれわれが「蜘蛛の糸」の犍陀多のごとく、しがみついた糸がぷつりと切れて地獄の底へ真っ逆さまに墜ちるような状況になるでしょう。ここで何度か述べていますが、半藤一利氏が仰っていた「四十年史観」や「滅びの四十年」の正しさが立証されそうです。今後7~8年でわたしたちの日本の姿は想像しないような状況になっていても不思議ではありません。

わたしたち、とくに若い世代の方が危機バネを働かせて、この国が滅びへの道から再生への道へと転じていくことを祈ります。

 

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岸田文雄政権発足と今後の経済政策の行方

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先月9月29日に行われた自民党総裁選挙で岸田文雄候補が新総裁に選出され、10月4日の臨時国会にて第100代内閣総理大臣に任命されました。宏池会の議員が政権を握るのは30年ぶりのことです。

宏池会は1957年に池田隼人が旗揚げした自民党内の派閥で、大平正芳、今回財務大臣に任命された鈴木俊一氏の父である鈴木善幸宮澤喜一、そして岸田文雄氏と4名の総理を輩出しています。この派閥は官僚出身の議員が多く「政策には明るいが政局には暗い」と評され御公家集団と揶揄されてきました。岸田新総理も財務官僚が多く、これまでの政策発言は官僚よりだとみられてきております。岸田氏が総裁選出馬のときツイッター上に設けていた岸田BOXというご意見箱にも「財務省の狗(イヌ)」「財務省のポチ」という投書がなされていたようです。かなり緊縮財政色が強い政権になるのではないかと警戒されています。

しかしながらその一方で、総裁選出馬前より岸田氏は安倍晋三元総理が会長をつとめている「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」に参加し、金融緩和政策や積極的財政政策についての知見を得ようとしていました。岸田氏と同時に総裁選に出馬した高市早苗議員もこの議連に参加しています。

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この議連には岸田氏と同じ宏池会に所属し、経済通と云われた山本幸三議員(写真右端)も関わっています。山本幸三議員は岸田氏に金融政策や財政政策についてのレクチャーを行ってきたようです。岸田氏は総裁選を通し、極端な財政均衡主義を控えるようになり、高市氏ほどではないですが機動的財政出動の必要性も言及しています。

宏池会は伝統的にリベラル色が強く、外交は経済重視で防衛観もハト派であるといわれてきた派閥ですが、経済政策と共に安倍政権以来築き上げた路線を継承していくことになると考えられます。中国共産党覇権主義や横暴がかなり目立ってきており、北朝鮮や韓国を含めて日本は毅然とした姿勢を見せつけていかねばなりません。アメリカとオーストラリア、インド、そして台湾と連携し、インド・太平洋・東アジア圏の安全を護っていく必要性が高まっています。宏池会中心の内閣となってもその路線を覆すことはできません。経済政策についてもアベノミクスに採り入れられた異次元金融緩和政策が民間投資と雇用を活発化し、それが第2次以降の安倍内閣を7年以上にも及ぶ長期政権としたという了解を岸田氏もしていることでしょう。財務省や金融機関関係者、旧き日銀理論支持者たちは異次元金融緩和政策をやめさせようとしてきましたが、それを岸田政権の閣僚が口にしようものなら一気に経済や雇用が崩れ、政権崩壊につながることを岸田氏は理解していると思われます。既に岸田新内閣は株式市場や内閣支持率で手痛い洗礼を受けています。アベノミクスの継承をよりいっそう強く打ち出していかねばならなくなっています。

岸田氏は自民新総裁に就任後、党役員人事で共に総裁選に出馬し、同じくアベノミクスの継承と財政政策面を中心としたその強化を掲げてきた高市早苗氏を政務調査会長に指名しました。高市氏の総裁就任を推していた人たちからは冷遇だという声か上がりましたが、政調会長というポストは自民党としてどのような政策・法案を打ち出すかをまとめ、その方針を内閣に伝えて予算案に反映させるという重い役職です。高市氏は党内で相当強い権限を持つことになり、氏が総裁選中に唱えていた経済政策や防衛政策を党の基本政策として反映させていくことができます。

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維新の会の音喜多駿議員の見方によれば、あえて高市氏を閣僚から外してZ省の切り崩し工作から守り、党側から圧力をかけさせられるようにするようにしたのではないかということです。

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岸田新内閣が発表した閣僚についてですが、財務大臣は先にも述べた鈴木善幸元総理の長男である鈴木俊一氏であり、他の閣僚も初入閣が13人と馴染みのない名前や顔が多く、期待感がさほど高まっていません。鈴木俊一氏は一応アベノミクスを支持する発言をしてきており、財務大臣就任後もデフレ脱却へ向けて大胆な金融政策・機動的財政政策・成長戦略の3原則で取り組むとの意向を明らかにしています。しかしその一方で消費税減税に反対の姿勢を示すなど緊縮色をみせており、確固たる経済観や財政観を持っている人物とは思えないのです。凡庸な印象を受けます。

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そして岸田総理自身の経済観自体についても疑心暗鬼にならざるえないものであります。岸田氏は「新しい資本主義」を標榜し、貧富格差の是正とそのための所得再分配を強調しておりましたが、これに

規制緩和構造改革新自由主義的政策は我が国経済の体質強化と成長をもたらしたが、富める者と富まざる者の分断も発生。成長のみ、規制緩和構造改革のみでは現実の幸せには繋がらず。 」

といった経済学的に理解しがたい発言が含まれています。「新自由主義」という言葉の定義は非常に曖昧でふわとしており、理論性の薄さが気になります。

参考「新しい日本型資本主義 ~新自由主義からの転換~ 」衆議院議員岸田文雄

https://kishida.gr.jp/wp-content/uploads/2021/09/20210908-02.pdf

岸田氏が示した資料において

「デフレ脱却」に向け、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の3本柱
を堅持。 

が第一に掲げられており、アベノミクス継承の意志を示してはいますが、岸田氏が金融政策の役割をどこまで深く理解しているのか不明です。別のブログでも取り上げてみたいですが、第2次以降の安倍政権で導入された異次元金融緩和政策によって企業の事業投資意欲と雇用の最大化を促し、大企業から関連企業への支払いや就労者への賃金分配が進んでいます。新卒者求人倍率も上がって安定しました。金融政策は雇用の安定と経済格差発生防止に寄与するということを岸田氏が理解されているならば、もっとその説明を詳しくされた方がよいのではないでしょうか。

岸田氏は金融所得課税の見直しや医療・介護・保育など公的セクターの現場で働く人の所得向上、大企業による下請けいじめゼロを目指すとしていますが、貧富格差や下請けいじめ問題も金融緩和政策で相当改善させることができます。

あと新自由主義的だとされる規制緩和構造改革といった政策ですが、これもまた貧富格差の発生につながったという根拠はどこにもありません。「新自由主義的政策」というのは恐らく宏池会とライバル関係にあった清和会の小泉純一郎政権のことを指しているのだと思われますが、この政権の問題は規制緩和構造改革よりも緊縮気味だった財政政策にあります。岸田氏が所属する宏池会の議員も財務官僚寄りの緊縮財政に走りがちで、やはり小泉政権と同じような批判をされるリスクがあるのです。

それと最後にこの政権でいちばん気になる点を申し上げると、日銀政策委員や総裁・副総裁の人事をどうするのかという点です。2022年7月23日に片岡剛士政策委員の任期が終了します。片岡委員はリフレ派といわれてきましたが、いちばん積極的に金融緩和政策の強化を主張されている方です。岸田政権が片岡さんを続行させるのか、飯田泰之さんなど他のリフレ派といわれる論客を推すなりしてくれるのであればいいのですが、マクロ経済政策や金融政策のことをよくわかっていない素人を平気で政策委員に任命してしまうようなことをすれば金融政策を軽視しているとみなさねばなりません。岸田政権の本気や経済政策の理解がこのとき試されます。


更新が滞りがちになりますが、今後ともよろしくお願いいたします。

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菅総理退任と自民党新総裁選挙

今月9月3日、菅義偉総理は月末で任期が終わる自民党総裁選挙に出馬しない意向を示しました。この方は新型コロナワクチンの調達をはじめ、クワッド(日米豪印戦略同盟)強化など防衛や外交戦略の他、経済対策などでも地道に仕事をこなされてきましたが、国民受けが良くなく内閣の支持率がどんどん下がっていました。自民党支持者内でも「菅では選挙に勝てない」という声が高まっていたようです。

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多くの人の見方と異なりますが、経済政策を学ぶ立場から菅総理を評しますと、経済政策とくに金融政策の理解については先代の安倍晋三氏に比肩していました。多くの人にあまり気づかれなかったと思われますが、菅氏が前回自民総裁選に立候補したときの記者会見で、ある記者から「金融緩和の副作用によって地方銀行の経営を圧迫していると言われていますが、菅さんはどうお考えですか。」と質問されたのですが、菅氏はそこで「地方銀行の再編が必要となると思う。」という答弁をしました。記者のような質問は民間事業者の経営状況を無視して金融機関の利益しか考えず、金融緩和政策を妨害したい人間がするものですが、菅氏はそれを一蹴したのです。私はこの菅氏の発言を聞いて氏の金融政策の理解は本物だと直感したのです。

菅総理はその期待にたがわず日銀の政策委員に野口旭専修大学教授を推すなどしています。

metamorphoseofcapitalism.hatenablog.com

財政政策面でも昨年大型の補正予算を組み、コロナ禍で苦境に陥っている企業等への支援に尽力されています。

metamorphoseofcapitalism.hatenablog.com

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ただ昨年末に組んだ第3次予算は潜在GDPに対し不足する需要の穴埋めに必要な規模を確保したのですが、世間での菅政権の評価はいまひとつでした。しかも今年度に入り政権末期になってきますと、財務省にがんじがらめにされてしまったのか、菅政権は積極的な財政政策を打ちにくくなっていきます。積極財政を主張していた内閣官房参与参与だった高橋洋一氏が辞任し、その後で岸博幸氏に入れ替わりました。菅総理の周囲は積極財政を推進する論客ではなく、緊縮色が強い財務省寄りの人間や岸氏ならびにデービット・アトキンソン氏のように構造改革重視の人間ばかりとなっていきます。菅政権に対する世間の不満はコロナ感染拡大を食い止められなかったようにみられたことが大きいとされていますが、政権末期になるにつれ、だんだんと財政政策の態度が硬直的になってきたことも不人気の理由のひとつだったかも知れません。

菅総理はもともと権力への執着心があまりなく、もともと体調不良で辞任せざる得なかった安倍前総理の引継ぎのためだけに総理を務めたと見られます。最初から長期政権を目指していたわけではなく、次を任せられる人がいたら席を譲るつもりでいたように私は思います。とはいえど9月から菅総理肝入りのデジタル庁が本格的に起動し、コロナワクチンの接種が進んで感染が落ち着く目前で辞任となってしまうのはあまりに惜しいです。これから述べるように現在出馬を表明した自民党新総裁候補はいずれも経済政策観が著しく貧しいか未知数な人ばかりです。安倍前総理や菅総理のように経済政策とくに金融政策に対する理解がしっかりできているとは言い難いです。後先を考えずに菅政権を窮地に追い込んだマスコミや左派系野党の無責任ぶりに怒りを覚えます。

愚痴を言っていても仕方がないので、現在自民党総裁選に出馬している人の経済観について確認していきましょう。いま名前が挙がっている中で最も有力だと思われる高市早苗氏と河野太郎氏、岸田文雄氏に的を絞ってみたいと思います。

政治家の能力というのは経済ばかりではなく、外交や防衛、社会保障制度、災害など有事に対する対処能力などを総合的にみていかないといけませんが、それでも経済政策がダメだと他の政策も成り立たなくなってしまいます。景気が低迷し雇用が悪化すると、着実に政権の不安定化を招きます。

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上で述べたようにいずれの新総裁候補も経済政策に関しては心許ないところですが、いまの時点で比較的期待できそうに見えるのは高市早苗氏です。菅総理が辞任表明する前に氏は総裁選に出馬する意向を示したのですが、正直突如意外に現れたという印象です。しかし私は諸々の理由で氏の立候補を歓迎しています。これによって小池百合子東京現都知事の野心を砕くことになります。国民不在の抗争を繰り広げる自民党内派閥と霞が関官僚、小池百合子 - 新・暮らしの経済手帖 ~時評編~ (hatenablog.com)

つい先日氏が金融所得増税、キャピタルゲイン増税のことを口にしてしまい、物議となってしまいましたが、それでも金融緩和政策の継続と、物価目標2%達成までプライマリーバランスにとらわれず積極的財政政策を打つ姿勢をはっきり示した点は高く評価したいです。氏は安倍政権時代の経済政策アベノミクスを発展的継承していくとし、3本目の矢を「成長戦略」から「大胆な危機管理投資、成長投資」に変えています。

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上の飯田泰之さんとの対談動画において、高市氏は次のような経済政策案を打ち出しています。

・既存の事業者の経営を守ることがV回復の条件
・コロナ前後の法人課税所得差の8割を給付
・持続化給付金の再支給
補正予算を急がなければいけない
マイナンバーと給付専用口座の紐づけ
・生活困窮者への再度の給付金
・プライマリバランス黒字化目標を一時停止せよ
・サナエノミクスは金融緩和/財政出動/危機管理投資/成長投資
・(金融政策に加え)財政政策にインフレターゲット

SSL Forum 高市早苗氏インタビューのまとめ|飯田泰之|note より引用)

多少危なっかしさはあるといえど、高市氏の提案はかなり良い筋です。細かい点については随時批判して修正を促していけばいいかと思われます。

マスコミで大きく取り上げているのは河野太郎氏と岸田文雄氏ですが、二人とも経済政策だけについては決して明るくありません。金融政策に関する理解がほとんどなく、金融緩和政策を引き締めたがっている様子が伺えました。岸田氏も高市氏同様にコロナ対策として国債を財源にした積極財政政策を行う考えを示しています。氏の場合は比較的左派層も喜びそうな低所得者向けの再分配政策に力点をおいているのが特徴です。しかしながら金融緩和政策などのアベノミクスはトリクルダウンを起こさなかったなどという発言をしています。私は正直岸田氏の経済政策は信用できません。河野太郎氏については経済政策についての具体案をはっきり打ち出していません。

高市氏の経済政策案がもっともいいと言っても、この先思わぬ形でボロを出すかも知れませんし、岸田氏や河野氏の発言もどんどん変わっていく可能性があります。最終的には彼ら彼女らが実際に政権を執ってからでしか評価しようがないことです。今月中はいろいろ落ち着かない状況ですが、総裁選候補者の論戦が国民益につながるものになることを祈ります。


更新が滞りがちになりますが、今後ともよろしくお願いいたします。

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