ベーシックインカム構想
このブログサイトの集大成として綴ってきた「ベーシックインカム構想 」編の締めくくりをさせていただきます。 ベーシックインカムという制度構想は一時さまざまな方面から注目され、世界的にも導入議論や実験が広く行われてきました。しかしながら日本にお…
ベーシックインカムの導入をどう進めるかについては賛成派の中でもいろいろ案が異なっていますが、私の方で非常に重要だと思っていることを述べると、ベーシックインカムの導入は強い経済を取り戻してからだということになります。 賛成派の中で「ベーシック…
私はベーシックインカムの実現を望む者であり、その実現性について決して低くはないということを、経済学の知識に基づいて話してきました。自分が紹介してきたベーシックインカム案は原田泰日銀審議委員や飯田泰之明治大学准教授らが示したものを土台にして…
前回の記事「不確実性という災厄に立ち向かうベーシックインカム」の最後に「1990年代に日本が流動性の罠に陥ってしまった理由のひとつは景気から雇用に至るまで不確実性がうんと高まってしまったことにあるのではないかという仮説を自分は持っています」と…
ベーシックインカムや給付つき税控除はすべての国民が無一文の状態になってしまうようなことがないようにするための所得保障制度です。極端に所得や資産が低い状態になったら、自動的に公助がはじまるシステムです。 いま高い就労能力を持ち、日々懸命に働き…
今回はベーシックインカムもしくは給付付き税控除をどのような過程で導入していったらいいのかを考えてみます。 ベーシックインカムは制度構造自体は極めてシンプルですが、財源規模が大きい上に、税制や社会保障体系を変革していくことになり、大がかりです…
前回UKのユニバーサルクレジット制度に関する記事を書いて、改めて気がついたのはベーシックインカムや給付付き税控除は無条件給付で行わないと、やる意味がないということでした。給付付き税控除は所得や資産状態だけを給付判定基準にし、他の条件は課さな…
前回フィンランド政府はベーシックインカム実験は延長しないことを決めたという話を取り上げました。現在フィンランド経済は好調だとはいえず失業率も高めです。経済協力開発機構(OECD)の経済開発検討委員会(EDRC)は2018年2月、UKが導入したような、複数…
今回はこれまで浮上してきたベーシックインカム構想や実験についての話です。何年か前にいくつもの国や地域でベーシックインカム導入法案が提出されたり、実験が行われてきました。マスコミなどで割りと大きく取り上げられたのはスイスのベーシックインカム…
ベーシックインカムに反対する人がよく持ち出してくるのが、産業革命期であった18~19世紀頃にイングランドのスピーナムランドで導入された貧民制度の例をあげる人が多いです。評論家の橘玲氏がプレイボーイで記事を書かれていましたし、前回取り上げた海老…
ベーシックインカムや給付付き税控除に対する反対意見の例をいくつか取り上げてきました。 藤井聡氏や三橋貴明氏、中野剛志氏とそれに近いMMT(現代貨幣論)支持者らが行っているベーシックインカム反対論については「あまりにひどいベーシックインカム賛成…
ベーシックインカム導入に反対する人は右派にも左派にもいるということをここで書きました。前回は保守(?)側の藤井聡氏や三橋貴明氏、中野剛志氏とその”信者”らによるひどく悪質なベーシックインカム攻撃を批判しております。 前回記事 「あまりにひどい…
現在「ベーシックインカム構想 」編はベーシックインカム導入反対論に対する批判を続けていますが、現在その中でも最も狡猾かつ悪質な官憲主義者や国家社会主義者による妨害工作について述べています。ベーシックインカムは政・官による恣意や裁量が入り込み…
「ベーシックインカム構想 」編と言いつつも国家社会主義に対する批判の話を続けています。 国家社会主義的思考というものは民衆からお金とそれを稼ぐ力と好きなことに遣う裁量権を国家が略奪し、経済的自由を蔑ろにするものです。 私たちは日頃働いて稼いで…
「疚しい理由でベーシックインカムに反対する人たち 」の続きです。前回書いたことはベーシックインカムや給付付き税控除はそれによって既得権益を失う政治家・官僚・特定業界からの激しく、かつ狡猾な妨害工作にあってなかなか実現しないのではないかという…
「ベーシックインカム構想 」はこれからベーシックインカムの導入に反対する人たちや彼らの反論について検証していきます。その前にここでもう一度ベーシックインカムや給付付き税控除を導入する目的や意義について確認しておきましょう。 ベーシックインカ…
ベーシックインカムの話をすると決まって出てくるのは財源の話ですが、私は所得税を財源の基本とし、不況でそれが落ち込むときに政府や日銀がお金を発行して補填するという方法を提案しました。不況のときは消費が落ち込み物価が下がります。市中の貨幣の量…
「ベーシックインカム構想 」の本筋からやや外れますが、ここ最近急にアメリカや日本でMMT(現代貨幣理論)への関心が高まっています。アメリカの次期大統領選挙に急進左派といわれるバーニー・サンダース上院議員などといった候補者が名乗りをあげておりま…
前回の「AIによるシンギュラリティが到来するのか? 」で人工知能(AI)やロボットが人間の労働を奪ってしまい、今後数十年の間に多くの人が就労できなくなってしまうような社会が到来する可能性は低いという話をしました。これを理由にベーシックインカムの…
2015年に野村総研がAI(人工知能)やロボットなどの発達で人間が行っている労働の49%を代替することが可能になるというレポートを発表しました。 野村総研 「日本の労働人口の49%が人工知能(AI)やロボット等で代替可能に」 さらに駒澤大学の井上智洋准教…
政治や経済の話をするときに自由主義という言葉をよく耳にしますが、権力者の横暴を抑制し、国家が暴力や威嚇によって思想や言論を弾圧するといったことを排除するのはもちろんのこと、国民全体の利益に反する不合理な法規制を無くしていくことなどが政治的…
「ベーシックインカム構想 」編の記事ですが、今回もジャスティス(justice)についてとそれを求める人が抱えねばならないリスクについて掘り下げてみたいです。justiceは日本で”正義”と訳されることが多いですが、本来は”公正”や”適正”という意味のようです…
ベーシックインカムの研究をしていると、必ずぶつかる大きな壁が「働かざる者食うべからず」という反発です。 正直好きな言葉ではありません。 こちらが構想しているベーシックインカムや給付付き税控除案は、当面モノやサービスの生産をはじめとする社会的…
「貧困・雇用・格差問題 」編の「一見誤解されやすい解雇規制や最低賃金・金利・実質賃金の話 」という記事で昭和時代の終身雇用制度や解雇規制が逆に労働市場の流動性を損ね、労働者の雇用促進や賃金上昇を阻む要因になりかねないという話をしました。 ここ…
これまで解説してきたようにベーシックインカムや給付付き税控除は貧困者というごく限られた層の人のみを対象とした生活保護と制度の設計思想が大きく異なり、より幅広く、普遍的な現金給付制度です。BIや給付付き税控除はごく一般的な就労者の人でも給付を…
もし仮にベーシックインカムや給付付き税控除を実現したとしても、最初のうちは最高でひとり月数万円程度の給付になるだろうという話を私はしました。経済状況を見計らいながら給付額を少しづつ増やしていけばいいかと思いますが、それでもすぐに生活保護と…
今回は給付付き税控除やベーシックインカムと生活保護との違いについて話します。以前三橋貴明がベーシックインカムというけれども国民に現金を配る制度だったら既に生活保護があるじゃないかといったような主旨の発言をしています。 しかしながら両者で大き…
ここのブログサイトの「ベーシックインカム構想 」編で紹介しているBI制度設計案は所得税制に基づく給付付き税控除という制度を土台にしたものです。詳しいことは「標準的なベーシックインカムの制度設計案 」で述べました。 国民全員に所得税や資産税を課…
前回ベーシックインカムは基本的に所得税制と組み合わせた形で制度設計するのが望ましいという話をしました。 前回記事 「ベーシックインカムの財源はなぜ所得税主体なのか 」 前々回記事 「標準的なベーシックインカムの制度設計案 」 原田泰教授のベーシッ…
前回の記事ではもっとも標準的なベーシックインカムとその露払いというべき給付付き税控除の案を紹介しました。 こちらが推奨するのは所得税制と一体化させた包括的現金給付制度です。 ベーシックインカムは国民すべてに無条件で同じ金額の現金を直接給付す…