新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

2018-01-01から1年間の記事一覧

一年最後の投稿 (後日記事消去します)

今年2018年も間もなく終わろうとしています。 細々ながら約1年半の間続けてきましたこの経済ブログですが、基本的なリフレーション政策の理論説明から、社会保障問題や貧困問題へと書き進めております。 本当は「貧困・雇用・格差問題 」は年跨ぎにならない…

マルクスの労働価値説と剰余価値説は正しいのか

いま「貧困・雇用・格差問題 」編の記事を書き続けていますが、この経済・社会問題を語る上で外すことができない人物といえばドイツの哲学・思想家であったカール・マルクスと盟友のフリードリヒ・エンゲルスでしょう。 カール・マルクスとフリードリヒ・エ…

資本主義経済と共に生まれた不況や失業問題

今回も産業革命期と初期の資本主義経済についての話です。ここまでは資本家階級の暴走によって起きた貧困や格差、公害や疫病・犯罪の多発による都市の荒廃について述べてきましたが、今回は不況や失業の発生についての話です。 深刻な不況や貧困の発生は当然…

純粋な自由主義と市場原理主義を目指していた産業革命期のイングランド

今回は前回記事「産業革命の陰で進んだ労働者の貧困 」の続いて、産業革命期のイングランドで起きた労働者階級のひどい貧困や治安悪化、ひどい公害と公衆衛生悪化による疫病の発生といった問題について述べました。 産業革命を推し進めた旗手である資本家・…

産業革命の陰で進んだ労働者の貧困

前回の記事「プロテスタンティズムと絶対王政下で生まれた懲罰的なイングランドの貧民法(救貧法) 」に続いて、今回も資本主義経済黎明期にイングランドで発生した貧困問題の話です。時代は18世紀半ばから19世紀半ばにかけて起こった産業革命まで下ります。…

プロテスタンティズムと絶対王政下で生まれた懲罰的なイングランドの貧民法(救貧法)

前回記事「資本主義経済黎明期における工業化と都市化が生んだ新たな貧困や格差の発生~ 」の続きになります。前回封建社会から資本主義社会へ移行するときのイングランドで地主(ジェントリー)や独立自営農民(ヨーマン)らが、当時高収益で稼げる毛織物の…

資本主義経済黎明期における工業化と都市化が生んだ新たな貧困や格差の発生~~

2つ前の記事で経済要因の不況や貧困・格差問題の発生は構造要因型と景気循環要因型の2つがあると話をしました。ここから構造要因型の貧困・格差問題について考えていきましょう。時代は封建時代の中世から資本主義経済が生まれた近代へと移行する過程で現…

公正な所得分配って何?~justiceを求める旅~

よく「貧困と格差問題」という言葉が使われますが、今回は後者の「格差」について考えてみたいと思います。 「格差」と言っても結構ふわとした意味になっております。経済問題を扱うここでは基本的に資産や所得の格差、生産されたモノやサービス、その交換媒…

構造要因型と景気循環要因型に分かれる経済的要因の貧困問題の解釈

「貧困・雇用・格差問題」編第1回目「貧困・格差はなぜ生まれる? ~経済学の最も重要な使命・貧困の解決~ 」で貧困発生の要因をおよそ5つに分類してみました。 その中で経済的要因の貧困は4の経済構造要因型貧困と5の景気循環要因型貧困が当てはまると…

貧困はほんとうに自己責任か ~人は生まれながらにして不平等~

「貧困・雇用・格差問題 」編の第2回目は貧困問題の捉え方についてです。 日本で月10万円以下で生活している貧困者の数は2005年のときまで2000万人近くもいました。生活保護の利用世帯は214万人です。そうした状態に至った経緯は様々でひと括りにできませ…

貧困・格差はなぜ生まれる? ~経済学の最も重要な使命・貧困の解決~

今回から「貧困・雇用・格差問題 」編です。 経済学はおカネを扱う学問だと思われがちですが、モノやサービスといった財を活発に生産し、国の富を殖やし、それをまんべんなく多くの人々に分配していく方法を研究する学問であると私は捉えています。 貧困や不…

人口問題と国家財政危機論に振り回されるな ~社会保障・医療・福祉問題編の結びにかえて~

今回で「 社会保障・福祉・医療問題 」編は最終回とします。社会保障制度の概略から歴史、社会保障財源や医療・介護福祉・生活保護の各問題について追ってきました。一般の人が持ちがちな社会保障制度に関する誤解について解く目的でずっと記事を書いており…

経済学無視で損をしてきた医療・福祉関係者

生活保護の話を書き終え、「社会保障・福祉・医療問題 」編は今回を含めあと2回とします。今回は日本の医療や福祉関係者の多くが経済学に冷淡であることを批判します。 自分も20数年~30年前のことですが、福祉学科の大学生でした。高校時代から革新左派系の…

生活保護費負担の抑制はマクロ経済政策が第一

長くなった生活保護の話ですが、今回で締めくくりとします。最後はマクロ経済と生活保護の関係です。 これまで述べてきましたように生活保護は国によって何度も受給抑制が行われてきました。ここ数年で一番おぞましかったのは2012年に起きた生活保護バッシン…

生活保護の現物支給化・収容主義化はナンセンス

長く続けた生活保護の話はあともう少しだけです。今回は「誤解と偏見だらけの生活保護問題 」や「かなり湾曲されて伝えられている生活保護不正受給の実態 」で書いた2012年の激しい生活保護バッシングのときに多く出てきた保護費の現物支給化や保護利用者を…

逆に生活の自立と再建を損ねかねない生活保護・補足性の原則

生活保護という制度が抱える問題をずっと取り上げ続けていますが、今回は「生活保護制度の4原則と保護費の算定 」で述べた補足性の原則が保護利用者の生活再建や自立を損ねかねない問題について述べます。 もう一度補足性の原則について説明させていただく…

福祉事務所ケースワーカーが置かれている過酷な状況

非常に書くことが多い生活保護のことですが、今回はその給付を行う福祉事務所(役所内では「福祉課」などと呼ばれている)のケースワーカーが置かれている状況について話していきます。生活保護を利用している人たちの状況は大変なものがありますが、給付す…

役所の裁量に左右されてしまう生活保護の受給資格

前回「簡単にもらえない生活保護 ~保護利用を妨害する水際作戦と硫黄島作戦~ 」は生死に関わるほど極端な貧困状態に追い詰められたとしても、生活保護がすんなり簡単にもらえるものではないということを書きました。過去数十年の間に生活保護を申請しても…

簡単にもらえない生活保護 ~保護利用を妨害する水際作戦と硫黄島作戦~

今回は生活保護問題で最も大きなものである漏給についてです。様々な理由でひどい貧困状態に陥っているにも関わらず、生活保護による支援が行われていない状況が漏給問題です。多くの人たちは不正受給のことばかり気にしますが、保護が必要なのに受けられな…

外国人の生活保護受給状況はどうなっている?

前回記事「かなり湾曲されて伝えられている生活保護不正受給の実態 」で片山さつき議員や在特会といった極右活動家たちは在日外国人が税金も払わず生活保護を受給し、寄生するかのように日本国民の財産を収奪しているといった悪質なデマを流し、煽動していた…

かなり湾曲されて伝えられている生活保護不正受給の実態

生活保護の話はもう既に6回目に入りますが、今回は一般の人たちが最も関心を持っていると思われる不正受給問題です。最初のときにも書きましたが2012年に自民党の片山さつき議員や産経新聞などが煽動する形で、生活保護の不正受給問題が大きく取り上げられ、…

生活保護・医療扶助を喰い物にする行路病院とぐるぐる病院

ここからいよいよ生活保護に関する各諸問題について細かく斬り込んでいきます。まずは医療扶助からです。 「生活保護に関する統計を見てみる 」でも述べたように、生活保護で行われる扶助で最も多くの給付が行われているのは生活扶助ではなく、医療扶助(公…

生活保護に関する統計を見てみる

今回は生活保護の受給世帯数や支給総額の変化やどういう扶助が多いのか、誰が受給しているのかといった統計を確認していきたいと思います。「誤解と偏見だらけの生活保護問題 」で述べたように生活保護の関して多くの人々は、基礎的な統計すら確認せずに、強…

生活保護制度の4原則と保護費の算定

生活保護制度の話は3回目ですが、今回は生活保護制度の基本的な考え方を説明しましょう。 前回の後半でも少し触れましたが、現行生活保護制度は4つの原理と原則で成り立っています。この原理と原則をまとめると ・無差別平等の原則(生活保護法第2条) ・…

生活保護制度はなぜ生まれた?

前回から生活保護問題に入りましたが、この制度のはじまりから基本的な制度の考え方、給付の仕方等について述べていきます。ネット上の会話とかを読むとかなり生活保護制度のことを理解していないのではないかと思われる発言が見受けられます。 まずは簡単に…

誤解と偏見だらけの生活保護問題

日本の社会保障制度の基本体系から歴史をはじめ、年金ならびに医療保険問題、介護福祉問題、そして前回・前々回の保育問題を取り上げ続けた「社会保障・福祉・医療問題 」編ですが、今回から最後のテーマである生活保護問題に入っていきます。 生活保護問題…

需要と供給の関係が歪な保育・福祉業界 ~官製統制市場の矛盾~

前回「荒廃する保育所のひどい実態」に続く保育所の運営問題です。保育需要がどんどん増加していく一方で、サービスの供給側である保育現場が荒廃し、粗雑な保育が行われていたり、保育士がどんどん離職していくという惨状について述べました。今回は経済学…

荒廃する保育所のひどい実態

医療や介護福祉問題に続き、保育所問題について取り上げます。2016年にある匿名SNS上に書かれた「保育園落ちた日本死ね」発言によって保育所不足による待機児童問題が多くの人々の注目を集めて議論になりました。しかし保育行政は待機児童問題だけではなく、…

福祉を喰い物にする天下り役人と介護福祉ブローカー

介護福祉問題の話はそろそろ終えようと思っていますが、介護福祉施設の理事や施設長などに天下り、何もしないのに高給だけを盗ってしまう天下り役人や介護報酬ならびに補助金等を貪ることしか考えない福祉ブローカーたちについて述べておきましょう。 再度リ…

寝たきり化や認知症悪化を防止する北欧流の高齢者福祉システム

ここまでずっとブラック医療施設や介護施設の問題について延々と記してきました。病院ないしは介護施設というハコだけをつくって重度の入院患者もしくは入所者を押し込め、診療や介護報酬だけを稼ぐために人件費などのコストを抑え込み、寝たきり化や認知症…