新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

2023年を振り返って

今年2023年もあと残りわずかです。われわれはパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻後から供給力不足を原因とするエネルギー資源や食糧などをはじめとするモノ(財)価格の高騰に悩まされ続けています。

今年を振り返る意味で年頭に書いた記事を読み返してみました。

metamorphoseofcapitalism.hatenablog.com

黒田東彦氏に続く日銀総裁雨宮正佳氏や中曾宏氏ではなく、植田和男氏になった点や、欧米の景気過熱・インフレの勢いが想像以上に根強く長期化してしまった点、日本における雇用や企業投資が今の時点ではまだ堅調であることなどは筆者の予想どおりではありませんでした。これは幸運なことです。しかしながら欧米の高いインフレにブレーキがかかりはじめ、来年以降にアメリFRBEUのECBなどの中央銀行が利上げを撃ち止めにしていく可能性が囁かれています。

日本についても植田日銀総裁がYCC(イールドカーブコントロール)を形骸化させたり、マイナス金利解除をほのめかすなど、金融タカ派の態度を見せ始めており、

企業の投資意欲や雇用、個人の住宅投資などに水を差す可能性が十分にあります。

また岸田現政権が現在どんどん弱体化しており、いつ倒閣してもおかしくない状況です。岸田文雄総理自身も財務官僚色が強く、「増税メガネ」と揶揄されたように緊縮財政に転じそうだと云われ続けてきましたが、もしこの政権が倒閣したらさらに財務省色・緊縮色が強い政権になる可能性が高いです。

幸いに人手不足状況がまだ続いていて、今年の春闘では使用者側も積極的な賃上げを行う回答が見受けられました。賃金が上昇することで人々が積極的に消費をし、それが財やサービスの価格上昇を可能とする状況を生む「賃金と物価上昇の好循環」が日本においても30年ぶりかに復活するかしないかのところまで現在の日本経済は達していますが、日銀や今後の政権がそれをへし折ってしまうようなことになってしまうことを筆者は警戒しています。そういう意味で今年年頭のブログ記事内容を撤回するつもりはありません。とにかく民間経済再生の速度が岸田政権発足後から進行し始めた異次元金融緩和の骨抜きや財務省寄りの緊縮財政路線への転向の動きから逃げ切ることを祈るばかりです。

新聞やテレビ等では相変わらず「物価を下げるために金融緩和をやめて円高に誘導すべきだ」などという論調が目立ちますが、これは為替相場だけしか見ない、あるいは買い手である消費者としての立場でしかみない偏った観点から生まれたものです。多くの国民はただモノやサービスを買って消費するだけではなく、就労や自営を行って生産活動をする側面も持っています。仮に物価が下落しても、それ以上に所得が落ち込めば生活が苦しく不安定なものになります。

パンデミック収束を境にデフレからインフレ基調の経済に転換しはじめていますが、これは働く人たちにとって大きなチャンスです。しっかり働いてもっと所得を伸ばそうという考え方を持つべきです。

現在世界的に進んでしまったインフレはパンデミック後の人手不足やウクライナ戦争などによるモノやサービスの不足から生じているものです。金利引き上げなどの金融政策引き締めや緊縮財政によって需要を抑え込むことでインフレを鎮静化すべきだという主張が目立ちますが、そうしたことでわれわれは欲しいモノやサービスが入手しやすくなるのでしょうか?いくら金融引き締めや緊縮財政をやってもモノやサービスの量自体が不足していれば多くの人々に行き渡らせることはできません。それでウナギやサンマの漁獲量や卵とか野菜の量が増えるわけではないからです。

今年・来年に限った話ではないですが、モノやサービスの安定した生産や供給を護る経済安全保障が極めて重要になってきます。それを一番阻害しているのがロシアのプーチン政権や中国の習近平政権といった軍事独裁政権と社会主義体制であるのですが、自由主義国家はそれに対峙していかねばなりません。


政策研究・提言ランキング

ご案内

「新・暮らしの経済手帖」は経済の基礎知識についての解説を行う基礎知識編ブログも設置しております。画像をクリックしてください。

f:id:metamorphoseofcapitalism:20200814191221j:plain
https://ameblo.jp/metamorphoseofcapitalism/

ameblo.jp

 
サイト管理人 凡人オヤマダ ツイッター  

https://twitter.com/aindanet