新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

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雇用悪化・緊縮財政で国民生活を痛めつけかねない宏池会・岸田政権の危険性

f:id:metamorphoseofcapitalism:20220122213555j:plain自民党岸田文雄政権が昨年10月に発足してから3か月以上経過しました。この政権は当初より経済政策の方向性に不透明感があり、筆者は岸田氏が自民党総裁に選出されてからモヤモヤした感覚を常に抱き続けています。とはいえどまだ自民党総裁選挙中はまだアベノミクスの継承や増税・歳出削減を封印する姿勢を打ち出しており、以前よりあった「財務官僚のポチ」といった風評を払拭するような政権運営をするのではないかという微かな期待も持ち合わせてもいました。

それから時が過ぎるにつれ、この政権に抱いていた不安や不信がどんどん確実へと変わっていきます。この政権は岸田氏と同じく宏池会に属し、緊縮色が非常に強い林芳正議員を外務大臣に任用したり、党の税調会長に同じく増税や歳出削減に前のめりな宮澤洋一議員をあてがったりしています。昨年12月に基礎知識編ブログの方でこの批判をしました。

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岸田政権は安倍政権が導入し雇用改善などで大きな成果をもたらした異次元金融緩和の縮小を計り、その上に増税ならびに歳出削減を進めていこうと目論んでいるようです。筆者はこの政権が長く続いてしまった場合、深刻な不況と増税・歳出削減で国民生活はかなり厳しいものになると予想しています。タイミングが悪いといま日本でも懸念されかけているインフレ(資源価格や食糧品などの価格を含めた方の物価上昇)が加速したまま、雇用や賃金分配が低迷し、さらには増税で苦しめられるという三重苦に国民が襲われることになるかも知れません

ここ最近ですが、アメリカなどで高いインフレが目立つようになり、アメリカの中央銀行FRBは金融引き締めに転じようとしています。日本でも原油や食糧品などの資源価格高騰を起因とするインフレの気配が出かけており、日銀の金融緩和を縮小していくべきだという発言をする人たちが目立ってきています。筆者は基礎知識編ブログの「金融引き締めでコロナ禍後のインフレを抑制できるのか? | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)」と「金融緩和打ち止め誘導の「悪い円安」論 | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)」で原油価格・食糧品価格などの高騰による物価上昇の場合は金融政策の引き締めは効果が望めないばかりか、企業活動の委縮や雇用の悪化だけをもたらしかねないと警告しました。

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よくインフレが発生した場合は金融政策を引き締めるべきだとされていますが、それは金利を引き上げて民間企業の事業投資を抑制させ、雇用や賃金分配の縮小で過剰な消費を抑えることで物価を引き下げていくものです。ロシアやOPECなどの資源産出国が生産を渋ってその価格が上昇してしまっている場合は金融政策の引き締めは無意味です。またここしばらくドル高・円安が進んでいる状況ですが、これも資源価格高騰でドル通貨の準備が必要なためにドル不足に陥っていることによるものです。いずれにしても資源生産や半導体などの供給不足が解消されない限り収まらないインフレだといえましょう。岸田総理や他の宏池会所属議員にそうした判断ができるかです。現在宏池会には有能な経済ブレインであった山本幸三氏がいません。

自民党宏池会という派閥は池田隼人氏が立ち上げたものでしたが、官僚出身の所属議員が多いのが特徴で「御公家集団」と揶揄されてきました。政策についても非常に大蔵省・財務省色が強く、財政規律を重視し増税や歳出削減に前のめりです。アベノミクスで採用された異次元金融緩和政策についても、消極的というか無理解です。また外交については親中国・韓国路線だともいわれています。安倍晋三元総理は清和会に属していますが、宏池会と清和会は対立的で経済政策や外交姿勢は真逆であり、いまの岸田総理は清和会色をどんどん払拭しようと躍起になっているように見受けられます。筆者は安倍元総理がすすめた異次元金融緩和政策は企業活動の活発化と雇用の改善に寄与したと高く評価しており、同じく安倍氏が進めた日本、米国、オーストラリア、インドの四か国同盟(クワッド)などの外交・安全保障戦略についてもその高い功績を認めています。しかし岸田政権は安倍・菅政権時代の経済的・政治的資産をすべてぶち壊しにしようとしているのです。岸田政権発足直後に行った衆議院総選挙で当初自民党公明党の苦戦が予想されたにも関わらず善戦して以降、この政権は完全に図に乗っているとしか思えません。官僚依存が強いマスコミもまた岸田政権に対して批判が非常に甘く、政策が迷走しまくっていても内閣の支持率は高い状態が続いています。宏池会のやりたい放題でしょう。

それと岸田総理は株価の動きに無頓着なようです。岸田政権以後金融所得課税見直しの話や自民党梶山幹事長代行の「株主利益を人的資本に投入」発言などでこの政権は何度も株価下落を起こしています。株価というと「庶民の暮らしに関係ない」と思われそうですが、忘れてはならないのは株価は先々の雇用状況に反映されます。このブログで何度も申し上げてきましたが、雇用とは人への投資です。株価は企業の将来の収益や投資意欲を占う上で確認しなければならないものです。

株価が低いままになっているということは企業が事業を積極的に拡大し、収益を伸ばす期待が薄いということです。こんな状況で積極的に人を多く雇い入れようとはしません。いまの政権ですとかなり長期の経済停滞を招きかねません。となってくると気になるのは新卒者の求人状況でしょう。再び就職氷河期が訪れる危険性が高まってきました。

景気や雇用の悪化で所得税法人税の税収が落ちて、それを補うために増税を行い、さらに景気悪化と国家財政の悪化を進行させることになるのではないでしょうか。ネット上で既に揶揄されていますが、岸田政権は「新しい資本主義」ではなく「新しい社会主義」を目指しているように思えてなりません。筆者はこの国がかつての旧ソビエトのように墜ちぶれ、やがて好き勝手自由にモノを買えないような状況になっていく気がします。

 

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