新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

異常すぎる20年以上のデフレ状態

今回から新編「デフレと失われた20年」に入ります。
日本の1990年代に発生したバブル景気崩壊とその後20年という異常に長い期間の経済沈滞について取り上げます。

前編の「バブルと恐慌の発生」編の続きになるのですが、「失われた20年」と云われる長期のデフレ状態は極めて異常なことでした。これだけの間経済成長が停滞し続けた国はありません。サイモン・クズネッツ教授が「世界には先進国・途上国・日本・アルゼンチンの4種類の国しかない」などと発言したそうですが、自分はいずれ「先進国・途上国・日本とアルゼンチン」にならないかと危惧しています。
過去20年間における日本の経済成長率は世界最下位です。この間他国はどんどん経済成長を続けていくわけですから、かつては発展途上国とか中進国だと云われた国がその20年間に経済力をつけ日本を追い超していくという事態も出てきました。いまアベノミクスでデフレ脱却を目指しているところですが、何もしていなければ日本の経済的地位が低下し、底辺国化への道を辿るところでした。

失われた20年で産業の衰退が衰退し続けただけではなく、われわれ国民の生活水準も気がつかぬうちにじわりじわりと低下していきました。1972年生まれ以降のロスジェネ世代と云われる層から雇用が不安定化し、就職氷河期を経験するようになっていきます。前回書いたように彼らの多くは非正規雇用という形の就労しかできず、職能を磨く機会を失って、より低賃金・低待遇・収入不安定化に苛まれ続けました。
経済の浮き沈みが激しくなってくると、就職を目指す高校生や大学生たちにとって、同じ能力を持っていても卒業年次によって内定率や就職先の良し悪し、生涯所得が変わってしまいます。天地茂さんの歌「昭和ブルース」で「生まれたときが悪いのか それともこの俺が悪いのか」というフレーズがありましたが、それと同じで理不尽極まりないことです。

「失われた20年」に対する怨み言を書いていたらキリがないのですが、このような異常な経済状態がなぜ日本で発生してしまったのかについて書いていきたいと考えています。

今後の話の流れは
1 日本のバブル経済発生と三重野日銀総裁(当時)による金融引き締めがもたらした経済急失速
2 バランスシート不況や銀行の貸し剥がし・企業の投資低迷
3 村山富市橋本龍太郎内閣をはじめとする緊縮財政と(消費税をはじめとする)増税
4 金融緩和政策が失効し、企業の投資・雇用が伸びないままになってしまう流動性の罠問題
5 企業の投資・雇用意欲の消極化や国民の消費活動停滞の慢性化
6 経済不安定化がもたらす貧困拡大や産業の衰退
7 リフレーション政策導入まで
といった形で進める予定です。

次回はデフレの定義についてです。


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