新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

「暮らしの経済手帖」新たなる船出

はてなブログで再出発する「暮らしの経済手帖」ですが、その第1回目の投稿です。Yahoo!ブログ時代にはわたしたちが知るべき基本的な経済知識をテーマ別にとりあげてきましたが、ここのブログでは時評を中心に記事を書いていきます。
 
2年前に「暮らしの経済手帖」を開設したときは、第2次安倍政権がリフレーション政策の考え方を採り入れた経済再生政策アベノミクスによって雇用や企業の投資が劇的に改善していた時期でした。今度こそは日本が1990年代以来の暗いトンネルから抜け出せるかも知れないという期待を持つことができていたのです。
 
しかしながら今年2019年に入ってから、日本の景気の動向に暗雲が立ち込めはじめた上に、安倍政権が消費税率10%引き上げを見送りをせず、予定どおり実施という方針が下されました。日銀の黒田総裁も追加緩和を渋り続けています。2006年のときのように景気回復が確実になっていない状態で金融緩和政策を萎めてしまうという愚行を再び繰り返してしまう流れができかかっています。
 
こうした動きに同調するかのように、金融緩和政策をやめさせたがっている銀行などをはじめとする金融関係者や財務省がバックについた経済評論家が、再び息を吹き返し、さらに金融政策よりも財政政策に偏重したMMT(現代貨幣理論)論者たちが跋扈しはじめています。両者は真逆の主張をしているかに見えますが、国家財政が国民経済を左右させるのだという社会主義的思考が根底にあります。官僚主義的なものです。
 
経済活動を支える主役は民間です。わたしたちが日々の生活で必要とするモノやサービスといった財の多くは民間の事業者が産み出したものです。その生産と消費活動を活発にさせなければならないのですが、過去四半世紀に渡って多くの日本人はその重要性を忘れてきたのです。
 
私は金融政策を非常に重視する立場ですが、それは企業が新しいものづくりやサービスを生み出すためには豊富な資金を要するからです。その資金の調達がうまくいかないと新しい商品の開発や新しい機械の導入、そして人を多く雇い入れることができなくなります。多くの人にとってイメージがわきにくいかも知れませんが、金融政策が雇用に直結しているというのは、そこにあります。日本人の多くがこのことをよく理解できていないのです。
 
投資ばかりではありません。投資をして多くのモノやサービスを生産しても、人々がそれを買うことができなければ経済活動は行き詰ります。
 
金融緩和政策で民間企業の生産活動と労働者への所得分配を活発化させる一方で、多くの国民が安心して消費活動ができるような財政政策を同時に行なわなければならないのですが、現時点の安倍政権はそれをやっていないのです。困ったことに野党もまた的外れな批判だけでその問題を的確に指摘することができていません。相当絶望的な状態だといっていいでしょう。
 
この先日本はモノやサービスの生産や消費活動をどんどん萎縮させ続け、世界の中での経済的優位性をどんどん失っていく恐れが再び高まっています。今後海外から安い食糧品や資源などを購入できなくなり、場合によっては日本人が海外へ出稼ぎに行かねばならないような時代が訪れるかも知れません。そういった危機意識がないのです。
 
過去四半世紀に及んでボロボロに傷んだ日本の民間企業の活力を少しでも再生させ、これ以上の日本経済衰退を防止しないといけないのですが、そういう動きが潰されてしまっている有様です。
 
今後日本が採っていく経済政策は非常に社会主義的な色彩が強いものになっていくことでしょう。戦前2・26事件によって高橋是清蔵相が暗殺された後に、蔵相となった馬場鍈一が行ったような財政偏重のいびつな経済政策に傾いていく恐れが出てきています。官の肥大化によって国債の濫発が進み、増税でその後始末をし続けるといったことになってしまいかねません。
 
今後ここでは歪な財政偏重型の経済政策の問題だけではなく、社会保障問題に関するひどい俗説についても批判していきたいと考えています。
 
サイト管理人 凡人オヤマダ ツイッター https://twitter.com/aindanet
 
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