新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

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実はMMTラブ?な財務省・日銀

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 あと10日で日本の消費税が10%に引き上げられる日が来ますが、日銀と財務省、金融機関、それとMMTもまとめて批判します。

 

7月に自分がやっているツイッターで「Z省くんって実は嫌い・嫌いと言っているけどケルトンさんのこと好きなんじゃないの~」なんてツイートしました。f:id:metamorphoseofcapitalism:20190920101246j:plain

MMTの代表的論客のひとり ステファニー・ケルト

 

一見すると財務省+日銀は財政規律偏重主義で、MMTは逆に「財政規律?そんなの関係ねえ!!!」と真逆の主張をしているかのように見えますが、実は両者とも金融政策を極めて軽く扱っており、中央銀行は市中が必要とする量のカネを流すことしかできないという立場をとっていたりします。

ニューケインジアンを含めた主流派?経済学においては、中銀による金利操作がモノやサービスの生産・供給者である民間企業の投資(設備投資や研究開発費、原材料費、雇用などにお金を遣うこと)に大きな影響を与え、さらには市中へ流れるマネーの量にも変化を与えると考えます。ところが旧来の日銀やMMTerらは金利操作が民間企業の事業や雇用に大きな影響を与えないと考えているようなところがあります。

 

手前味噌の図説で、しかも誤解を与えかねないようなもので良くないですが、白川時代までの日銀やMMTerらは中銀が必死に金利を引き下げたり、ベースマネーを積み上げても、民間企業の投資意欲が低いままだったら、下の図のように市中へカネは流れていかないぞと言っていました。f:id:metamorphoseofcapitalism:20190823225200p:plain

イングランドで「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということわざがありますが、市中のカネの量(マネーサプライあるいはマネーストック)も同じだということみたいです。

このような「日銀理論」の強烈な支持者だった翁邦雄氏と大論争をした岩田規久男教授は次の動画で人々の将来の予想を変えることで市中のおカネを活発に動かすようになり、やがて日銀内の民間銀行用当座預金に積まれたベースマネーが引き出されるようになると説明します。f:id:metamorphoseofcapitalism:20190920114812j:plain上の生島ヒロシ氏の番組出演後に岩田教授自身が日銀副総裁に就任され、黒田日銀下でインフレターゲットの導入や異次元金融緩和を進めて来られました。その結果民間企業の投資意欲がV字回復し、雇用もどんどん改善してきました。

しかしながら未だしぶとく旧日銀理論にしがみつき続ける人が絶えず、金融緩和無効論を唱え続けています。それに日本のMMT支持者ものっかってきているのです。岩田教授が番組で注意されていましたが、「量的緩和をやってもベースマネーが市中へ流れず、マネーサプライが増えないから失敗ダー」ということを言い出したりするのです。

 冒頭で自分は「一見すると財務省+日銀は財政規律偏重主義で」と述べましたが、皮肉にも1990年代以降の日銀の金融タカ派政策が民間企業の経営活動を大きく阻害し、それによって雇用を停滞させ続けたことで、日本の国家財政肥大化と悪化を加速させました。

「バブル退治の鬼平」こと三重野康日銀総裁以降、白川方明総裁時代まで、日銀は批判を受けたときだけ金融緩和をちょこっとやってはすぐやめて、ちょこっとやってはすぐやめての繰り返しで、金融緩和政策の効力を失わせ、それがMMTのような財政政策偏重主義者を生み出すことになりました。表向き財務省や日銀はMMTを目の敵にしているかに見えますが、MMTを日本で流行らせる元となったのは財務省や日銀自身にあります。

 

これまで述べてきたように財務省の役人や日銀は銀行などの金融機関の利益を守るために量的金融緩和政策やマイナス金利などを目の敵にしてきています。それに比較したら彼らにとってMMTの方がまだマシに見えるかも知れません。しかもMMTerらは物価上昇に至るまで財政赤字を増やすのは当然だと主張しています。いまの日本の金融機関は収益源を民間への貸出しよりも公債に求めていますので、財政赤字拡大ウェルカムではないでしょうか。

おまけに弱体化した民間がお上の財政にしがみついてくれるようになってくれるのは役人の利権を増大させることになります。f:id:metamorphoseofcapitalism:20190920121134j:plain

 一見財務省とハンメに見えるMMTですが、私は財務省と日銀、金融関係者という金融社会主義トロイカ体制に組み込まれてしまうのではないかと思っております。

 

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