10年に一度の大物(ワル):勝栄二郎財務次官の操り人形となった野田佳彦政権
尖閣漁船衝突事件や突然の消費税引き上げ発言に加え、東日本大震災のデタラメな対応ぶりで悪評の限りを尽くした菅直人政権は2011年9月にやっと退陣しました。そのあと民主党新代表となり政権を引き継いだのは野田佳彦になります。野田は総理の職に就く前に地元選挙区での辻立ち演説で消費税引き上げ反対を唱え、同時に官僚たちのことを税金を貪り食う「シロアリ」と呼んでいました。
ところが野田は総理の座についたとたん、消費税引き上げを言い出しはじめた挙句に2011年の国家予算を自民・公明政権時代より10兆円近くも水増しさせてしまいます。
高橋先生が2011年12月に書かれた上の記事によれば、2009年8月に民主党政権が発足したときに党内で閣僚人事を巡り争いになって政権移行チームが作れず、予算編成に間に合わなかったために予算シーリング(おおよその枠組み)をかけずに、子ども手当や高速道路無償化・農家個別補償などの予算を求めてしまう格好になったとのことです。予算の組み換えも当然できず、自民・公明政権時代のときからの政策に民主党が導入した新政策が加わってしまい、予算の上乗せになってしまったのです。
民主党の肝いりであった事業仕分けは単なるポーズで、マニフェストに掲げてあった予算組み替えもまともにできず、官僚のいいなりになってしまって無駄な予算削減が進められませんでした。その挙句が年間90兆円に膨張した国家予算なのです。
話は菅直人政権発足直後に遡りますが、2010年(平成22年)7月30日に財務省内で「10年に一度の大物」と評されてきた財務官僚の勝栄ニ郎が財務次官に昇格します。
財務省内で大物といわれる剛腕官僚のことを「ワル」と呼ぶようです。勝栄ニ郎はまさにワルの中のワルというべきエグい官僚で、菅直人や野田佳彦を手玉にとり、財務省念願の消費税10%引き上げを盛り込ませてしまいます。この行いから勝は「影の総理」とまで呼ばれるほどでした。
勝と野田が引き合わされたのは野田がまだ藤井裕久財務大臣の下で副大臣を務めていたときで、藤井から勝に野田の「面倒を見てやってくれ」と頼んだときです。野田は財政の知識が乏しく、勝のレクチャーを鵜呑みにしてきました。何も知らない政治家を飼い犬化してしまうのは官僚の得意技です。
菅直人のときからそうでしたが、財務省は左派系政治家・政党が好む社会保障・福祉・医療の拡充という疑似餌を使って増税工作を進めます。社会保障や福祉や医療にはお金がたくさんかかるから消費税をどんどん上げないといけないというロジックです。経済に疎い菅や野田は見事にこの戦法に騙されてしまいます。この二人は「消費税引き上げこそが国民の幸せにつながる」と妄信しはじめます。これがさらに財務省主導の「税と社会保障の一体改革」へとつながっていきます。(この社会保障・福祉をエサに消費税引き上げをさせる手口は勝と同じく「10年に一度の大物(ワル)」と云われた斎藤次郎が野田の師匠である細川護熙や小沢一郎を凋落させるために生み出したものだが・・・・。)
前回の復興予算の記事でも書きましたが、増税によって政・官がどんどん国民からお金を巻き上げ、ガバガバ遣いまくることが経済や国民の生活福祉の向上になるといった身勝手な論理が民主党政権時代に増長してしまいました。国家社会主義的思考です。
民主党政権時代に民間の経済活力はどんどん低下し、白川方明日銀総裁の金融引き締めとそれによる円高によって日本企業の経営体力はみるみる落ちていきます。そこへ官の肥大による増税や放漫財政が重なり日本は実質社会主義国家化への道を歩みはじめました。
さらに震災のショックに乗ずるかのように野党の自民党側から10年間で200兆円もの土木公共事業工事を行うという国土強靭化計画が浮上してきます。これもまた国民がお金を遣わないから政府がどんどん遣ってやるべきだという国家社会主義的思想に基づくものです。
このあと自民党第2次安倍政権発足まで日本はとんでもない方向に突っ走ることになります。
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