新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

印象ではなく数量的に国家財政問題を把握すべき

税と国家財政問題 」編ですが、まとめに入ります。

日本の国家財政が危ないだの、国債が暴落するだのと煽り立てる経済評論家や政治家・マスコミが山ほどいます。いま日本国民の圧倒的多数が日本の国家財政は深刻な危機だと思っているのではないでしょうか?

それについてここでは「その危険はかなり小さい」ということを論証してきました。自分で財務省が計上した資料
や日銀の財務諸表に基づき、統合政府のバランスシートを作成してみることや、ドーマー命題の数式を使って財政が改善しているのか悪化しているのかを示す目安である債務残高対名目GDPがどうなっているのかを把握することを薦めています。

国家財政状況を語る上で債務残高対名目GDP比とそれを決めるドーマー命題は必須知識です。これを知らずして国家財政が危ないとか、全然心配ないとか言うべきではありません。これは標準的な経済学における財政の見方です。
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高橋洋一教授が提示されたドーマー命題の数式

先日幾人かの方にドーマー命題の数式に実際の日本の財政に関する数字を入れて計算していただきました。
やってみるとわかりますが、旧年度の債務残高の大きさや基礎的財政収支プライマリーバランス)だけではなく、経済成長率や国債金利が債務残高/名目GDPが収束(財政健全化)するのか発散(財政危機)になるのかを大きく左右することが理解できます。私もド文系で数学が得意だったわけではありませんが、上の式ぐらいだったら簡単に計算できてしまいます。さらにakima様がエクセル用の「来年の債務残高対GDP比シュミレーター」を作成されたので計算がさらに楽にできるでしょう。
言葉だけで積極財政派だの緊縮財政派だのと言い合っているのがバカバカしくなります。数式を自分で解くことによって債務残高/名目GDPと経済成長率、国債金利プライマリーバランスがどのように関係しているのか、目が覚めるように把握できます。

これを自分でやってみてから経済学者や評論家、政治家、マスコミそして財務省の役人らが言っていることを聞くと、彼らが数式にあてはめてものごとを把握できていないことがはっきりわかります。ただ言葉と印象だけで適当に財政が破綻するだの、しないだのと話をしているだけです。Stiglitzさんがまとめたものですが、下のリンク先に挙げられている学者たちがいかにトンデモかよくわかるかと思います。

Stiglitzさん

私としてはさらに紫頭こと浜矩子とか、齋藤誠などもブラックリストに載せてもらいたかったですね。

マスコミの記者はバランスシートすらまともに見ません。ですので財務官僚が資産側を隠して彼らに負債側だけを見せて「国の借金1100兆円」もあると言って騙します。それを鵜呑みにして伝書鳩のように国民に広めていくのです。経済リテラシーゼロなのが日本のマスコミです。

逆に藤井聡三橋貴明、中野剛志のように土木公共事業を中心とした財政の膨張ばかり唱える人間もいます。彼らもやはり上のような数式を使って財政状況を説明するといったことをしません。言葉でぐちゃぐちゃ「緊縮財政派ガー」「ネオリベガー」と言うだけです。中野は日本とギリシャの財政状況の違いを説明するときに「債務残高/名目GDP比なんか財政破綻に関係ありません」などというデタラメを言っています。まったく答えになっていません。こちらはちゃんと資産を差し引いたネットの負債残高や経済成長率と国債金利の絡みも考慮して、日本とギリシャ・アルゼンチンとは経済・財政状況が全然異なることを説明しております。


今の日本は自国通貨円の信認がものすごく高く、国債の方も国内の金融機関が飛びつくように買うので、発行すれば「瞬殺間違いなし」で売れます。よって国債金利がものすごく低いです。外国投資家が保有する割合も低いです。経済力の方も安倍政権のアベノミクスで持ち直し、外国人投資家たちが予想するその国の財政破綻リスクを物語るCDSクレジット・デフォルト・スワップ)もさらに低くなりました。税収増加によるPB改善だけではなく債務残高対名目GDP比も収束傾向です。

日本が財政破綻に陥る危険性はかなり低いと見ていいでしょう。

結局財政破綻ガー・ハイパーインフレガーといっている財務省および金融機関の御用学者とドケンジアンは同類であり、どっちも日本の経済や財政を混乱させかねない存在です。ジャンク(屑)であり、この国の経済や財政政策に口を出す資格がありません。

税と国家財政問題 」は今回でひとまず終わりとしますが、これまでここで述べてきたことを頭に入れていただき、冷静に日本の国家財政状況を把握していただけたらと願っております。


~お知らせ~
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