新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

”シロクマ””シロトン”と化した黒田日銀総裁

 前に書いた記事「変節したアベノミクスと再びまわり始める日本経済の終末時計の針 」で次のようなことを書きました。

”金融政策側についても、日銀・黒田東彦総裁はすっかり財務省の役人の地金が出てきて、ナマクラな態度をとっています。よくて「消費税10%増税を認めたのだから、追加緩和してやるか」と儀礼的に追加緩和、悪ければ何もしないといったところでしょう。”

ここ最近のニュースを読むとどうやら悪い方の予想が当たってしまいつつあります。

gendai.ismedia.jp

さらにこんな記事を書いている人までいます。

news.yahoo.co.jp

 

最低ですね。

 

前々から私は黒田総裁のことを「ダンガンロンパ」に登場するモノクマみたいな人だと評してきました。

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ダンガンロンパ」とは逆ですが、経済マニアの間で”シロ”とはリーマンショックで民間企業が投資や雇用を大幅に縮小し、ひどい不況に喘いでいるにも関わらず金融ウルトラタカ派ぶりを貫きとおした白川方明日銀総裁のことを指します。白川総裁のネグレイトぶりに呆れたポール・クルーグマン教授が「白川方明を銃殺刑にせよ!」と罵ったぐらいです。

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任期満了を待たず、安倍政権発足直後に辞任した白川に代わって日銀総裁の任に就いたのが黒田東彦氏です。就任直後の黒田は安倍総理の意思に沿って、まさに異次元の言葉どおりの大胆な金融緩和政策に協力します。日銀が各民間銀行あての当座預金口座に準備預金(マネタリーベース)をじゃぶじゃぶといっていいぐらい積みあげ、金利が上がりっこない状況を作り出します。

参考 インフレターゲットのほんとうの意味と目的 ~リフレはコミットメント~ 

 

日銀総裁が”シロ”から”クロ”に代わったとたんに、民間企業の投資や雇用がV字回復をしはじめます。

(未だに「雇用が回復しはじめたのは民主党政権時代からダー」だとか「雇用が増えたのは介護医療分野だけダー」などという屁理屈をこねる人間がおりますが、こちらのブログ記事で批判されております。)

途中までは「黒田バズーカ」といわれるぐらい、誰の目にも明らかかつ大胆な金融緩和を進めていた黒田総裁ですが、だんだんと財務省の役人の顔が出てきて「クロダからシロダになった」と揶揄する声が出始めます。

 

元々黒田という人は「ダンガンロンパ」のモノクマのようにクロクマになるのかシロクマになるのかわからない面があったのですが、最近はほとんどシロクマです。

 

シロダ総裁のバックにいる財務省や銀行をはじめとする金融機関関係者たちはアベノミクスがはじまる前からずっと国債日銀買受を進める量的緩和政策や、マイナス金利に反対し続けてきました。その理由がわかるのが下の記事です。

 後にまた批判しますが、どうやら銀行などの金融関係者、とくにメガバンクのように海外運用ができず、0コンマ台の超低金利で本業の貸し出しで稼ぐことができず、円国債の転売益を収益源として求める地銀にとって、低金利国債価格の高止まりは許せないことなのです。マイナス金利なんて冗談じゃないと言っているのです。財務省や金融機関に近いエコノミストが異次元金融緩和やマイナス金利に抵抗している理由はそこにあります。

しかしながらよくよく考えてみると、民間にカネ貸してナンボの銀行が国債の転売益にしがみついている姿というのは異様です。私はこういう状況を”金融社会主義”と見做しています。

黒田総裁が量的緩和をサボり続ける理由は結局地銀をはじめとする銀行の顔色を窺っているからに他なりません。銀行以外の民間企業の事情は考えていないのです。

 銀行を守っても民間企業を潰してしまったら、元も子もありません。資本主義経済の原動力は民間企業です。それをわかっていないのが日銀や財務省、金融関係者でしょう。

 

ameblo.jp

 

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