新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

食い止めきれない少子高齢化の進行

年金・健康保険財政の悪化は少子高齢化のせいだけか? 」で「技術高度化によって雇用の場が縮小していくという技術的失業発生と少子高齢化による生産可能人口の減少が互いに問題を相殺するという見込みも出てきます。そういう意味で私は少子高齢化問題についてはさほど深刻に考えていません。」と述べました。

少子高齢化が進行しても技術革新でそれを克服できるから大丈夫だというのは楽観的すぎないかと感じる人がいるかと思います。これから話しますように日本の少子高齢化の進行は2040年あたりには65歳の高齢者が4割近くも達し、2060年あたりになりますと一人の現役世代が一人の高齢者を支えなくてはならないような肩車状態の社会になるという予測が出ています。

イメージ 2


イメージ 1

こういう話を聞いているとひどく心配になってきますね。何としてでももっと子どもの数を増やして少子高齢化を食い止めないという気持ちになるでしょう。
しかしながら今から必死になって少子化対策を行い、出生率を改善しても大幅な改善は見込めないところまで事態は悪化しています。出産適齢期の女性の数自体が少なくなってしまっているからです。何度か申し上げますが1990年代に団塊ジュニア世代の人たちが結婚し、出産までこぎつけられていたら、20数年経った今の出産適齢期の女性の数がもう少し増えていたかも知れません。しかしながら1980年代からはじまった出産数の低下に歯止めはかかりませんでした。

下の図は出生率が1.3~1.4人のままの場合と2.3人に回復した場合の年少人口比率と生産年齢人口比率・高齢化率の将来推計です。

イメージ 3

人口ミラミッドも出生率がが回復すると棺桶型から長方形型に変わるとされています。
イメージ 4

上の方のグラフを見てどう判断するか人によって違うかと思われますが、出生率が改善すると高齢化率は26.6%に改善される見通しですが、生産年齢人口は50%から56.2%程度の改善で、年少人口は10%から17.2%程度に上がる程度です。自分はかなり厳しい数字だと受け止めます。

出産率を改善し少子化を食い止める対策は重要で、やらないといけない政策ですが、もはや子どもの数を増やすことばかりに目を奪われていてはいけない段階に少子高齢化問題は到達してしまっていると見るべきではないでしょうか。忘れてならない視点は現役世代は高齢者を支えるだけではなく、次の世代の担い手である子どもも同時に支えなくてはならないということです。高齢者と子どもの両者が現役世代の背に圧し掛かるということです。

生産可能人口の減少は技術革新による一人当たりの生産効率向上で補っていけばいいと私は言いましたが、それで少子高齢化問題は心配がないというより、そのような形で深刻な問題を乗り越えていかなければならないといった方が正確だったかも知れません。

子どもの出生数低下の割合よりも、経済成長率が上回っていれば、現役世代は辛うじて高齢者を支えていくことができます。

厳しい言い方に言い直すと、国民一人当たりの生産効率を上げれば少子高齢化による重い負担や痛みがなくなるわけではないが、それに耐える力はつけられるということです。厳しい将来予想を見て落ち込んでいるよりも、そのときに備え強い経済力をつけていくという考えを持つべきではないでしょうか。

~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

サイト管理人 凡人オヤマダ ツイッター https://twitter.com/aindanet
イメージ 1