新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

介護保険制度は公正に運営されているの?

ここのブログで多くの人が心配されているであろう老齢年金制度の財源問題や保険料負担について解説しておきました。

上の記事にて年金制度は保険制度であり、加入者が支払い続けた保険料と受給資格者に対する年金支給額は同じであることが原則だという説明をさせていただいております。収支相等の原則です、もちろん実際には国の一般会計財政からの国庫負担も年金財源にあてがわれていますが、収入と支出が同じようになるよう保険数理士(アクチャリー)が調整しながら年金制度を運営しています。

厚生労働省が用意したウェブサイト「いっしょに検証!公的年金」にもありますように、日本の公的年金制度は将来訪れる深刻な少子高齢化社会についても織り込み済みで運営されています。
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高橋洋一教授はみんなの介護の「賢人論」でインタビューを受けて、それが記事化されています。その中編で年金保険制度については「厚生労働省の年金のアクチュアリーが言っていることはそれほど間違いではありません。」と述べているものの、介護保険医療保険については「私は介護や医療は専門外だから詳しくはわからないけれど、やっていないような気がするけどね。だから、けっこういい加減な雰囲気で言っているんじゃないかと」などと述べています。

ここで介護保険制度がどうなっているのか振り返ってみますと、
40歳以上の国民全員に介護保険料が課せられます。これは65歳以上になっても同じで死ぬまで課税される保険料です。65歳以上の人が第1号保険者で40~65歳までの人が第2号保険者になります。

となると現在60歳代後半に差し掛かっている終戦後のベビーブマーである団塊世代層や1970年代生まれの団塊ジュニア世代が介護保険料を現在支払っていることになります。中高年の人口層が厚いので保険料収入もそれだけ多く集まることでしょう。このことを念頭に入れて高橋教授のインタビュー記事を読んでみてください。

高橋教授は介護報酬や介護職員の給料も引き下げについておかしいと異議を唱えます。

介護報酬が下がるのは不思議ですよね。“保険収入が上がらない”という前提に立たない限り、そういう現象って、数理からはなかなか出てこないですよ。介護報酬が下がるときに、介護職の分配の問題なのかなと思うくらいだよね。」

と述べられています。

さらには

一般的には、介護保険料収入は増えていくわけだから、平均単価がものすごく上がらない限り、介護報酬が下がるはずがないんです。」
だって、介護保険の収入が上がっていくのは当然でしょ。じゃあ、どうして下がるの?と思いますよ。誰かが、どこかに取ってしまっているんじゃないの(笑)。そう思ってしまうくらいです。」

という指摘や推論を高橋教授はされていました。

もし高橋教授の推論が正しいとなると、かなりひどい話ですね。
みなさんご存知のとおり、介護職は業務の負担の重さ(あるいは暴力・暴言等に遭うリスク)に見合うだけの報酬や待遇を受けているとはいえません。そのために業界全体で慢性的な人手不足が発生しています。

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リーマンショック直後は派遣切りにあった労働者等を介護職へ誘導するようなことをしていましたが、近年では外国人労働者で労働力不足を補おうとしています。完全に消耗戦になっています。

介護業界の矛盾については改めて取り上げたいですが、かなり重い税や社会保険料を負担を背負っている全国民をはじめ、介護サービスを利用されている人たちや身も心も削りながら介護労働に従事している人たちにとって不透明な介護保険制度の運営がなされていることは許しがたいことでしょう。

高橋教授は「厚生労働大臣の塩崎さん(当時)のところへ言って、”こういう疑惑があるんだけど、5人くらいで、スペシャルチームを作ってやれば、納得しますよ”と言えばいいんですよ」と提言されています。結局この問題については有耶無耶になってしまったままです。同じ疑惑追及をするならモリカケよりもこっちが大事なのではなかったでしょうか。

~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

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