新・暮らしの経済手帖 ~時評編~

わたしたちの暮らしを大切にするための経済解説サイトを目指して開設しました。こちらは時評編で基礎知識編もあります。

2018-01-01から1年間の記事一覧

ギリシャと日本の経済・財政事情は全然違う

3回目になりますが、何度も経済危機やデフォルトを繰り返してきたギリシャやイタリアなどのEU加盟国やアルゼンチンなどの中南米諸国の経済・財政事情について述べてきております。日本もこうした国同様に国家財政危機や国債暴落・デフォルトの危険があるなど…

独自の金融政策ができない国の悲劇 ~ユーロに縛られるギリシャ・イタリアなどのEU加盟国~

前回記事「アルゼンチンやギリシャの財政問題をどうみるか ~成長率と国債金利~ 」の続編です。今回はこの記事の最後の方で書いた自国通貨建て国債が発行できないことや自国の中央銀行による金融政策でないことの不利について、もう少し深く掘り下げます。 …

アルゼンチンやギリシャの財政問題をどうみるか ~成長率と国債金利~

「税と国家財政問題 」編はいよいよ終盤です。海外の事例をみていきましょう。国家財政破綻・デフォルトで真っ先に思い出す国といえばギリシャであり、つい最近ですとアルゼンチンもその問題が浮上しています。アルゼンチンの経済事情については「ハイパー…

いくら国債・貨幣を発行しても構わないという暴論はやめた方がいい

中野氏とMMT論者に対する批判を3回ほど書きました。本当はもっと彼らのまずい認識について厳しく批判しなければならないことが山ほどありますが、いまやっているのは国家財政の話です。こちらを優先します。 藤井聡氏や三橋貴明氏らとネット上の彼らの信…

現代貨幣理論(MMT)論者の貨幣供給と租税に対する見方

3回目になります中野剛志氏やMMT(現代貨幣理論)の財政に対する見方についての批評を続けます。 今回はMMTの貨幣供給の見方と租税に対する認識、物価調整の手法についてです。 中野氏が説明するMMTの貨幣観や租税に対する認識は以下のとおりだとこ…

中野剛志氏の貨幣と負債の認識について その2 ~信用創造の話の落とし穴~

前回から自民党の安藤裕議員を中心とするグループ勉強会で経済評論家の中野剛志氏が話したMMT(現代貨幣理論)の説明についての批評を行っています。 前回記事「中野剛志氏の貨幣と負債の認識について ~MMT(現代貨幣理論)のこと その1~ 」 参考動…

中野剛志氏の貨幣と負債の認識について ~MMT(現代貨幣理論)のこと その1~

先日経済評論家の中野剛志氏を招いて開かれた自民党の安藤裕議員を中心とするグループ勉強会の動画を視聴しました。中野氏は仮想通貨の話からはじめて、現代貨幣理論(MMT)の概念とその貨幣論について話をしています。 自民党「日本の未来を考える勉強会…

財政規律偏重主義と財政規律無視は両方とも極論

ここのサイトで何度となく財務省やその影響を強く受けた政治家、そして御用学者というべき財政規律偏重主義の経済学者・評論家(齋藤誠や小黒一正など)を強く批判してきました。 弊サイト記事 「リフレーション政策でハイパーインフレ」なんてバカげている …

金融政策を進めた高橋是清を暗殺した旧軍部による財政膨張

ここのサイトで何回か登場している高橋是清ですが、この人が行った政策について非常に大きな誤解が持たれております。また同時に昭和恐慌のときに高橋が行った国債の日銀直接引受についても、それが終戦後の悪性インフレにつながったなどという曲解もなされ…

金融政策軽視が招いていた国家財政悪化

このサイトの「デフレと失われた20年」編や「政府(市民統治)貨幣 」編、そして「ハイパーインフレについて」編を綴っていくうちに気がついたことは金融政策第一主義を採る必要性でした。多くの人たちにとって第一に思い浮かべる経済政策や景気対策は財政政…

国に1100兆円もの負債を積み上げさせた元凶は誰か ~日銀の金融無策が諸悪の根源~

「国の借金1100兆円」というのは国家財政のバランスシートで見たら右側の負債部門だけの数字(グロス)で、左の資産側を差し引いた債務残高(ネット)ではないことをお話しました。 参考「財務官僚が煽る国家財政危機の嘘 その1 バランスシートから 」 政府…

特別記事 財務省解体の待望とベーシックインカム実現への布石

新聞やテレビは相変わらずモリカケ一色だったようですが、この騒動で財務省が森友学園への公有地払い下げに関する文書を書き換えていた問題が発覚したり、福田淳一財務次官のセクハラ行為が明るみとなって、1998年に大蔵官僚が銀行のMOF担当者から接待を…

社会保障支出はなぜ財務省に削減の標的にされるのか

よく今の財政は緊縮財政だと批判されますが、実をいうと財務省をはじめとする役人やそれに絡む政治家たちは決して財政支出を縮小したがっているわけではないということを何度かここで述べてきました。各省庁の役人たちは自分たちの裁量で遣える予算が喉から…

なぜ財務省は消費税率引き上げに執着するのか

「税と国家財政問題 」編ですが、ここで通して伝えていることは本当に財政再建を計りたいのであったら、税を支払う民間の経済力を強くしていくことが第一だということです。当たり前の話ですが民間企業の業績がガタ落ちになったり、ひどい場合は倒産・廃業し…

緊縮財政が招いた財政膨張の皮肉と流動性の罠の発生

前回記事「増税と緊縮財政が余計に財政悪化を進める謎 」の続編的内容です。軽くその内容をおさらいしますと、日本の国家財政がみるみると悪化していったのは平成の世に入って間もなくのことです。平成元年(1989年1)12月に三重野康が日銀総裁に就任し、「…

増税と緊縮財政が余計に財政悪化を進める謎

政治家をはじめ新聞・テレビや多くの経済学者・評論家たちの多くが幾たびも国家財政は危機だ。増税と歳出削減を計らないと財政破綻だなどと口にします。 確かに普通の人ですと財政がそんなに苦しいのだったら、増税はやむを得ないし、歳出削減も仕方がなかろ…

財務官僚が煽る国家財政危機の嘘 その4 社会保障費

2017年9月18日に安倍総理は衆議院解散総選挙をチラつかせながら、2019年10月の消費税率10%引き上げを予定通り行い、その引き上げ分を教育無償化や社会保障制度の見直しにあてることを自民党の公約に盛り込む方針を示しました。このとき安倍総理は「10…

財務官僚が煽る国家財政危機の嘘 その3 膨張したままの財政

国家財政が危ないとしきりに財務省やその影響が強い国会議員・学者・マスコミが煽り、増税や緊縮財政をしないといけないと声高に叫び続けています。 しかしながら過去の国家財政の歳入・歳出のグラフを見ていると妙なことに気がついたりするものです。 これ…

野田聖子・・・・・こいつも終わっとる

自民党の野田聖子総務相が安倍政権の異次元緩和政策を批判していたというので当該の新聞記事を読んでみました。 朝日新聞「野田総務相、異次元緩和を批判 「一度立ち止まっても」 https://www.asahi.com/articles/ASL4W46D4L4WULFA018.html 記事引用 野田聖…

財務官僚が煽る国家財政危機の嘘 その2 GDPとプライマリーバランス・債務残高

「財政危機とはいったいどういう状況を意味するのか 」で財政危機とは経済学的にどういう状況のことを指すのかについて説明しました。それは債務と名目GDPの比率がワニの口のように開き続ける(発散する)ことです。稼ぎも資産もないのに借金だけがぶくぶ…

財務官僚が煽る国家財政危機の嘘 その1 バランスシートから

「日本の国家財政は危機的状況にある」 これは20年以上も前、いやその前からずっと大蔵官僚をはじめ、政治家や学者、マスコミ等を通じて国民に吹き込まれ続けました。1995年11月の村山富市内閣時代に、当時の武村正義大蔵大臣の口より「財政危機宣言」が出さ…

トロイの木馬に感染したかのように自国産業や国防が蝕まれていく日本

自分は経済問題の方はかなり重要視していますが、正直言って政治・・・・その中でも政局の話はなるべくなら聞きたくもないですし、見たくもありません。スキャンダル報道ほど中身がなく薄っぺらなものはないのです。所詮は誰と誰が仲間でどことどこが敵だと…

財政危機とはいったいどういう状況を意味するのか

「税と国家財政問題 」編ですが、よく経済学者やマスコミ・政治家・そして財務省などが、ヒステリックにといってもいいぐらい国民に危機感を煽り立てている財政危機とはいったい何なのかということを最初に定義づけておかねばなりません。その概念があやふや…

心配の仕方が間違っている国家財政問題

今回から「税と国家財政問題 」です。このサイトでは多くの方がいちばん気にしているであろう経済問題を中心に取り上げていくようにしていますが、国家財政問題は多くのマスコミや政治家の口から「日本の国家財政は危機的状況にある」と聞かされているだけに…

貨幣や負債の量ばかりに目を奪われるな ~ハイパーインフレ編のまとめにかえて~

これまで発生してきた悪性インフレの事例を検証してきた「ハイパーインフレについて 」編ですが、まとめに入ります。こちらが気がついたハイパーインフレ(それに準ずる急性的かつ悪性なインフレも含む)の発生要因は既に述べましたが次のとおりです。 1 人…

供給側の劣化が招いたスタグフレーション

「ハイパーインフレについて 」編ですが、不況で雇用が悪化しているにも関わらず物価高騰が進むというスタグフレーションという現象についても取り上げます。この奇妙な現象が起きたのは1970年代から1980年代のアメリカやヨーロッパが中心です。1973年(第1…

現在の日本でハイパーインフレが起きる可能性は小さいが

前回の記事「「リフレーション政策でハイパーインフレ」なんてバカげている 」では量的緩和や日銀国債買受といった財政ファイナンスといった手法でハイパーインフレを起こすなどという話は荒唐無稽もいいところだと話しました。 戦時中に日本の軍部が戦時国…

「リフレーション政策でハイパーインフレ」なんてバカげている

このサイトでリフレーション政策とアベノミクスについて解説させていただきました。 「アベノミクスとリフレ政策 」 リフレーション政策は深刻な不況に陥ってデフレ状態(物価下落と経済活動停滞が慢性化)となっているときに、本来もっとも健全な経済状態で…

経済政策にまったく期待が持てない岸田文雄・石破茂・小泉進次郎

前々回の記事「モリカケ騒動で失う大きな国益」の補足的内容です。 この記事で次のことを述べました。 「仮に安倍政権が倒れ、その後総理の座につくのは岸田文雄氏や石破茂などではないかと囁かれていますが、金融政策をはじめとする彼らの経済政策の認識は…

軍部が引き起こした軍事費の膨張とと終戦後のハイパーインフレ

中南米で起きたハイパーインフレの事例検証から一転して第2次世界大戦後に日本で起きた悪性インフレについて述べます。このことは既に「恐慌を食い止めよ その5 ヘリコプターマネーは禁じ手か? インフレターゲットの重要性 」と「通貨改革というプログラム…